政府は11日、電気自動車(EV)の普及促進に向け、2030年までに全国で充電器を30万基設置する目標を正式に発表した。この目標には、高速道路のサービスエリアや道の駅などに設置する急速充電器3万基が含まれており、現状の約5倍の水準となる。
脱炭素社会に向けた具体的な数値目標
経済産業省と国土交通省が共同で策定した「EV充電インフラ整備計画」によると、現在国内にある充電器は約6万基で、うち急速充電器は約1万基にとどまる。政府は、2030年までに充電器の総数を30万基に増やすことで、EVユーザーの「充電不安」を解消し、EV普及の最大の障壁を取り除く狙いだ。
岸田首相は同日の閣議後記者会見で、「EVの普及は2050年カーボンニュートラル達成の鍵を握る。充電インフラの整備は、国民が安心してEVを選べる環境づくりに不可欠だ」と述べ、政府として強力に推進する方針を示した。
補助金や規制緩和で民間投資を促進
政府は、充電器設置を促すため、2024年度から新たな補助金制度を創設する。具体的には、急速充電器1基あたり最大300万円、普通充電器1基あたり最大100万円を補助する。また、集合住宅や商業施設への設置を促進するため、建築基準法の規制緩和も検討する。
経産省の担当者は「目標達成には官民連携が不可欠。民間事業者の投資を後押しするため、規制改革や税制優遇も含めた総合的な支援策を講じる」と説明した。
自動車業界からは期待と懸念の声
日本自動車工業会は「政府の意欲的な目標を歓迎する。充電インフラ整備はEV市場拡大の前提条件であり、業界としても協力していく」との声明を発表。一方で、全国石油商業組合連合会は「既存のガソリンスタンドの転換も含め、地域の実情に応じた柔軟な対応が必要」と指摘する。
専門家からは「30万基という目標は野心的だが、達成には年間約3万基のペースで設置が必要。設置コストや電力系統の負荷など課題も多く、実効性のあるロードマップが求められる」との声も上がっている。



