EV購入補助金が大幅減額、2025年度から最大60万円に
日本政府は2025年度の電気自動車(EV)購入補助金を、現行の最大85万円から60万円に引き下げる方針を固めた。経済産業省が2024年12月に公表した2025年度予算案で、EV補助金の総額を前年度比で約3割削減し、1000億円程度に縮小することが明らかになった。この削減により、日本国内のEV販売に逆風が強まるとみられる。
補助金の減額は、2024年度に申請が殺到し予算が早期に枯渇したことを受けた措置。2024年度の補助金予算は1400億円だったが、2025年度は1000億円に減少。1台あたりの補助額も、車種や条件に応じて現行の最大85万円から60万円に引き下げられる。対象車種の条件も厳格化され、航続距離や充電インフラ対応などで一定基準を満たす車両に限定される見通しだ。
EV市場の成長鈍化、補助金頼みの構造に限界
日本自動車工業会のデータによると、2024年の国内EV販売台数は約8万台で、新車販売全体の約2%にとどまる。政府は2035年までに新車販売の100%を電動車(EV、HV、PHEV、FCV)にする目標を掲げるが、EV比率の伸びは鈍い。補助金削減により、2025年のEV販売台数は前年比で10~20%減少するとの見方が業界内で出ている。
ある自動車メーカーの幹部は「補助金が減れば、価格競争力が弱まる。特に軽EVなど低価格帯の普及に影響が出る」と懸念を示す。日本では軽自動車市場が大きいが、軽EVの価格は200万円前後と、ガソリン車の2倍以上。補助金がなければ購入ハードルがさらに高まる。
中国勢の低価格攻勢、日本市場への浸透加速
一方、中国のEVメーカーは日本市場への攻勢を強めている。比亜迪(BYD)は2023年に日本市場に再参入し、2024年には小型SUV「ATTO 3」や「ドルフィン」を投入。価格は300万円台前半で、補助金を活用すれば実質250万円台となる。BYDは2025年にはさらに低価格なモデルを投入する計画で、補助金削減の影響を打ち消す価格戦略を描く。
中国自動車工業協会の統計では、2024年の日本市場における中国ブランドEVのシェアは約5%だが、2025年には10%を超えるとの予測もある。日本政府の補助金削減は、中国勢にとっては相対的に不利になるが、彼らは低コスト生産と規模の経済で対応するとみられる。
国内メーカーはHVに注力、EVシフトに遅れ
トヨタ自動車や日産自動車など国内メーカーは、ハイブリッド車(HV)に注力する戦略を継続。トヨタの2024年の世界販売の約3割はHVが占め、EVは1%未満。日産は2026年度までにEV販売比率を18%に引き上げる目標を掲げるが、2024年度の実績は約5%にとどまる。
経産省の担当者は「補助金はあくまで過渡的な措置。最終的には市場競争でEVが普及する環境を作る必要がある」と説明する。しかし、補助金削減が短期的にEV需要を冷え込ませ、国内メーカーの投資意欲をそぐリスクも指摘されている。
充電インフラ整備も課題、補助金の重点化へ
2025年度の補助金は、充電インフラ整備にも重点が置かれる。急速充電器の設置補助は現行の最大300万円から400万円に増額。経産省は、EV普及のボトルネックである充電環境の改善を優先する方針だ。2024年末時点の国内の急速充電器は約3万基で、政府は2030年までに30万基を目標とするが、達成にはさらなる投資が必要となる。
EV補助金の削減は、日本政府の財政健全化の一環だが、EVシフトの国際競争に遅れを取る可能性がある。欧州や中国では補助金を拡大する動きもあり、日本のEV市場の今後は不透明だ。



