電気自動車(EV)への世界的なシフトが加速する中、日本国内のガソリン車の中古車価格が急落している。特に下取り価格の暴落が顕著で、新車購入を検討する消費者や中古車販売業者に混乱が広がっている。
中古車価格の下落率は前年比20%超
日本自動車販売協会連合会(自販連)のデータによると、2023年上半期におけるガソリン車の中古車平均価格は前年同期比で約22%下落した。特に排気量の大きいセダンやSUVの下落が激しく、一部モデルでは30%を超える値下がりも見られる。
この背景には、EVの普及に伴うガソリン車需要の減少がある。経済産業省の発表によれば、2023年度の新車販売に占めるEVの割合は約5%に達し、前年の2倍以上となった。EVの販売台数は約8万台と過去最高を記録し、特にテスラや日産リーフなどの人気モデルが牽引している。
下取り価格の暴落が新車販売に悪影響
下取り価格の暴落は、新車購入を検討する消費者にとって大きな打撃となっている。従来、ガソリン車の下取り価格は新車価格の約50~60%が相場だったが、現在では30~40%にまで低下している。例えば、3年前に300万円で購入したセダンの下取り価格が100万円を切るケースも珍しくない。
中古車販売大手のガリバーインターナショナルの広報担当者は、「ガソリン車の中古車在庫が滞留しており、値下げを余儀なくされている。特にディーゼル車や大型車の需要が急減している」と述べている。
中古車輸出市場にも影響
日本の中古車は海外、特に東南アジアやアフリカ諸国への輸出が盛んだが、これらの市場でもEVへの関心が高まっている。日本貿易振興機構(JETRO)の報告によると、2023年の日本からの中古車輸出量は前年比15%減少し、特にガソリン車の輸出が落ち込んでいる。一方、中古EVの輸出は倍増しており、市場の構造変化が顕著だ。
このため、国内の中古車販売業者は在庫を抱え、資金繰りに苦しむケースが増えている。中小企業庁の調査では、中古車販売業者の約3割が「経営に深刻な影響を受けている」と回答している。
メーカーも対応に追われる
自動車メーカーもこの事態に危機感を強めている。トヨタ自動車は2023年7月、ガソリン車の下取り価格を補償する新たなプログラムを発表した。これは、新車購入時に一定期間内の下取り価格を保証するもので、消費者心理の安定を図る狙いがある。
一方、日産自動車はEVの生産拡大と同時に、ガソリン車の中古車価格安定化に向けた取り組みを強化している。同社の担当役員は「EVシフトは避けられないが、既存のガソリン車ユーザーへの影響を最小限に抑える必要がある」と語っている。
今後の見通し
専門家は、ガソリン車の中古車価格下落は今後も続くと予測している。野村総合研究所のアナリストは「2030年までにガソリン車の中古車価格は現在の半分以下になる可能性がある」と指摘する。その一方で、EVの中古車市場はまだ未成熟であり、バッテリーの劣化や充電インフラの問題が課題となっている。
消費者にとっては、ガソリン車の購入を検討する際、将来的な資産価値の低下を考慮する必要がある。また、中古車販売業界はビジネスモデルの転換を迫られており、EV関連サービスへのシフトが急務となっている。



