EV補助金打ち切りで日本市場に暗雲、中国勢の台頭が追い打ち
EV補助金打ち切りで日本市場に暗雲、中国勢が追い打ち

日本の電気自動車(EV)市場に激震が走っている。2025年度末で国によるEV購入補助金が打ち切られる可能性が高まり、業界関係者の間で危機感が広がっている。経済産業省が2024年12月に示した「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の見直し案では、2026年度以降の予算が大幅に削減される方向で調整が進められている。実際、2024年度の補助金予算は約1000億円だったが、2025年度以降は継続が未定となっている。

補助金打ち切りで市場縮小の懸念

日本自動車販売協会連合会(自販連)の調査によると、2024年の新車販売台数に占めるEVの割合はわずか2.1%(約4万5000台)。補助金がなければ、この数字がさらに低下するのは避けられない。自販連の担当者は「補助金はEV普及の起爆剤。打ち切れば、2030年に政府が目標とする新車販売の30%をEVにするという目標達成は極めて困難になる」と警鐘を鳴らす。

実際、補助金の効果は顕著だ。2023年度の補助金交付件数は約8万件で、2022年度の約3万件から倍増。しかし、2024年度は予算不足で交付が遅れ、申請受付を一時停止する事態も発生した。これにより、消費者の購入意欲が冷え込み、2024年下期のEV販売台数は前年同期比で15%減少した。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

中国勢の低価格攻勢が追い打ち

追い打ちをかけるのが、中国メーカーの日本市場への進出だ。BYD(比亜迪)は2023年に日本法人を設立し、2024年には「ATTO 3」を約450万円で発売。2025年にはさらに低価格な「Seagull(日本名未定)」を300万円以下で投入する計画だ。一方、日産自動車の「サクラ(軽EV)」は補助金適用後でも約200万円で、補助金がなくなれば価格競争力が大きく低下する。

日本自動車工業会(自工会)の試算では、補助金が打ち切られた場合、2026年のEV販売台数は約3万台に落ち込み、2024年比で33%減少する見通し。自工会の幹部は「補助金がなければ、日本のEV市場は中国勢に席巻される可能性がある。国産メーカーの競争力を維持するためにも、何らかの支援策が必要だ」と訴える。

世界的な補助金縮小の流れも

ただし、補助金縮小は日本だけの動きではない。ドイツは2023年12月にEV購入補助金を突然打ち切り、2024年上半期のEV販売台数は前年同期比で16%減少した。フランスも2024年から補助金対象を低所得者層に限定し、予算を削減している。米国でもインフレ抑制法(IRA)の税額控除は米国生産車に限定され、日本車は対象外となるケースが多い。

このような国際的な流れの中、日本政府は2025年度予算案でEV関連の補助金を前年度比20%減の約800億円とする方針を固めた。経済産業省の担当者は「補助金に依存しない市場育成が不可欠。充電インフラ整備や電池の国産化支援に重点を移す」と説明する。しかし、充電インフラの整備状況は芳しくなく、2024年時点で急速充電器の設置数は約3万基と、政府目標の6万基の半分にとどまっている。

消費者への影響と今後の展望

補助金打ち切りが現実化すれば、消費者のEV購入意欲はさらに冷え込む。東京都内の販売店では「補助金がなくなれば、EVを勧めるのが難しくなる。特に軽EVは価格が上がれば需要が激減する」と懸念する声が聞かれる。一方で、充電インフラが整えば、補助金なしでもEVが選ばれるようになるという見方もある。

日本政府は2025年度中に新たなEV戦略を策定する予定だが、補助金の存続可否が最大の焦点となる。業界団体は「過渡期の支援は必要」と主張する一方、財政当局は「持続可能な制度設計が求められる」と慎重だ。日本のEV普及は、まさに正念場を迎えている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ