EVシフトの波、サプライチェーン再編へ 自動車部品大手が戦略転換
EVシフトでサプライチェーン再編 部品大手戦略転換

電気自動車(EV)への移行が加速する中、自動車産業のサプライチェーン(供給網)に大きな再編の波が押し寄せている。従来のエンジン車向け部品を主力としてきた大手部品メーカーは、EV向け部品の内製化や新たな提携戦略を打ち出し、競争力の強化を図っている。一方、中小部品メーカーは、変化への対応が遅れれば生き残りが危ぶまれる状況だ。

EVシフトがもたらす部品構造の変化

EVはエンジンやトランスミッションなど約3万点の部品が不要になる一方、バッテリーやモーター、インバーターなど新たな主要部品が追加される。この構造変化により、従来の部品メーカーのビジネスモデルは根本的な見直しを迫られている。自動車部品大手のデンソーは、2025年までにEV向け部品の売上高比率を現在の約10%から30%に引き上げる計画を公表。同社は、熱管理システムやパワー半導体などEVの中核技術に重点投資し、内製化を進めている。

また、アイシンもEV向けトランスミッションの開発を加速。従来のエンジン車向けトランスミッションとは異なる、小型・軽量のeアクスル(電動駆動モジュール)の量産化に乗り出した。同社は「EVシフトは部品メーカーにとって危機であると同時に、新たな成長機会でもある」とコメントしている。

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サプライチェーンの再編と中小企業への影響

大手メーカーの戦略転換に伴い、サプライチェーン全体の再編が進んでいる。従来、エンジン部品を供給してきた中小部品メーカーは、受注減少に直面。経済産業省の調査によると、自動車部品サプライヤー約1万社のうち、EV対応が進んでいるのは2割未満にとどまる。多くの中小企業は技術転換や設備投資の負担に苦慮しており、廃業や事業売却を検討するケースも増えている。

一方で、新たな連携の動きも活発化。例えば、ベアリング大手のNTNは、EV向けの高効率ベアリングの開発を進めるとともに、自動車メーカーとの協業を強化。同社は「EV化は当社の技術を活かす絶好の機会」とし、研究開発費を前年比20%増の150億円に拡大する方針だ。

政府の支援策と業界の今後

政府もサプライチェーン再編を後押しする。経済産業省は、中小部品メーカーのEV転換を支援するため、2024年度補正予算で500億円の基金を創設。補助金や技術指導を通じて、部品メーカーの事業転換を促す。また、自動車メーカーと部品メーカーの共同開発プロジェクトに対しても、最大で開発費の半額を補助する制度を設けた。

業界関係者は「日本の自動車産業が世界で競争力を維持するには、サプライチェーン全体のEV対応が不可避」と指摘。一方で、EVシフトのスピードは地域や車種によって差があり、すべての企業が一斉に移行できるわけではない。日本自動車工業会の試算では、2035年までに国内の新車販売の5割以上がEVになると予想されるが、それまでの過渡期において、部品メーカー各社の柔軟な戦略が問われている。

自動車部品業界の再編は、今後さらに加速するとみられる。大手によるM&Aや事業統合、中小企業の連携強化など、生き残りをかけた動きが活発化するだろう。EVシフトは単なる技術革新にとどまらず、自動車産業の構造そのものを変えつつある。

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