EVシフトで変わる自動車部品サプライヤーの生き残り戦略
EVシフトで変わる自動車部品サプライヤーの戦略

エンジン部品から電動化部品へ

電気自動車(EV)シフトの加速に伴い、自動車部品サプライヤーのビジネスモデルが大きく変貌を遂げている。従来、エンジンやトランスミッションなど内燃機関向け部品で収益を上げてきた企業は、需要減少に直面。一方で、モーター、インバーター、バッテリーセル、パワーデバイスなど電動化に不可欠な部品の需要が急拡大している。

生き残りをかけた技術転換

大手部品メーカーは、研究開発費を電動化分野に重点配分し、内燃機関関連の設備投資を縮小。例えば、デンソーは2030年までに電動化関連の売上高比率を現在の約20%から50%に引き上げる目標を掲げる。同社は、EV向け熱管理システムやSiCパワー半導体の開発を加速している。

M&Aと提携で領域拡大

技術転換には巨額の投資が必要であり、単独での開発リスクを避けるため、M&Aや提携が活発化。住友電気工業は、欧州の電動車両用ワイヤハーネスメーカーを買収。また、アイシンは、独シェフラーとの合弁でEV向けeアクスル事業を強化。こうした動きは、部品メーカーのすみ分けを加速させ、業界再編を促進している。

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中小サプライヤーへの影響

大手に比べ経営資源が限られる中小サプライヤーは、生き残りが厳しさを増す。ある部品メーカー幹部は「従来のエンジン部品の受注が5年後には半減する見通し。新たな得意先を開拓するか、電動化部品に特化するしかない」と語る。経済産業省の調査によれば、自動車部品サプライヤーの約3割が電動化対応で「技術的課題を抱えている」と回答。政府は中小企業の技術転換支援を強化する方針だ。

新たな競争軸と協業

電動化は、部品点数を減らす一方で、電子制御やソフトウェアの重要性を高める。これにより、従来の自動車部品メーカーと電機メーカー、IT企業との競合・協業が進む。例えば、ロームはSiCパワー半導体で自動車向け受注を拡大。また、村田製作所はセラミックコンデンサーでEV向け需要を取り込む。異業種からの参入により、業界の勢力図が塗り替わりつつある。

地域別の動向

日本では、トヨタ自動車が主導するハイブリッド車(HV)戦略により、完全EVへの移行が他地域より緩やかとみられていたが、近年のEV需要急増に伴い、部品メーカーも対応を迫られている。中国や欧州ではEV販売比率が高く、現地部品メーカーとの競争が激化。日本サプライヤーは、品質とコスト競争力で差別化を図るが、中国勢の台頭は脅威となっている。

将来展望

EVシフトは不可逆的な流れであり、部品サプライヤーの構造改革は避けられない。2025年以降、EVと内燃機関車のランニングコストが逆転するとの試算もあり、需要構造の変化はさらに加速する。サプライヤー各社は、技術転換のスピードと投資効率が生き残りの鍵を握る。業界再編は今後も続き、勝ち組と負け組の二極化が鮮明になるとみられる。

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