電気自動車(EV)シフトの加速に伴い、日本の自動車部品メーカーが研究開発拠点を海外へ移転する動きが顕著になっている。これは、コスト削減と現地市場への迅速な対応を目的としており、国内の雇用や技術力維持に影響を及ぼす可能性がある。
部品大手の戦略転換
デンソーやアイシンなど、トヨタグループの部品大手は、EV向け部品の開発拠点を中国や東南アジアに移す計画を進めている。デンソーは、中国にEV用パワートレインの研究開発センターを新設し、現地エンジニアを積極的に採用。アイシンも、タイにEV向け駆動モジュールの生産・開発拠点を構築する方針を固めた。
これら企業の判断の背景には、世界最大のEV市場である中国や、成長著しい東南アジア市場での需要取り込みがある。また、人件費や部品調達コストの面で、日本国内での開発よりも海外の方が優位に立つケースが増えている。
国内雇用への影響
一方で、こうした動きは日本の自動車産業の空洞化を招くとの懸念も強い。経済産業省の試算によると、EVシフトにより2030年までに国内の自動車関連雇用が最大約8万人減少する可能性があるという。部品メーカーの海外移転は、この傾向に拍車をかける要因となる。
ある部品メーカーの幹部は「国内の開発人員を維持するのは難しい。海外拠点で得た知見を日本に還元する仕組みが必要だ」と語る。しかし、長期的には国内の技術力低下が避けられないとの見方もある。
政府の対応と今後の課題
政府は、自動車産業の競争力維持に向け、国内でのEV関連投資を促進するための補助金制度を拡充。また、大学や研究機関との連携による人材育成にも力を入れている。しかし、企業の海外移転のスピードに追いついていないのが実情だ。
専門家は「日本がEV分野で国際競争力を保つためには、部品メーカーの海外進出を単なる流出と捉えず、グローバルなネットワーク構築の一環として戦略的に活用すべきだ」と指摘する。



