EVシフト加速で部品大手が続々統合、サプライヤー再編の波
EVシフト加速で部品大手が統合、サプライヤー再編

電気自動車(EV)への移行が加速する中、自動車部品業界で大手サプライヤーの統合・再編が相次いでいる。エンジンやトランスミッションなどの内燃機関向け部品需要が減少する一方、EV向け部品への投資負担が重くのしかかっており、業界全体で生き残りをかけた再編が進んでいる。

デンソーとアイシン、EV向け協業を強化

トヨタグループの部品大手デンソーとアイシンは、EV向け駆動ユニット「eアクスル」の開発・生産で協業を強化すると発表した。両社は2022年4月に合弁会社「ブルーネクサス」を設立し、eアクスルの量産技術を共同開発している。デンソーはモーターやインバーター、アイシンはギアやハウジングをそれぞれ手掛け、相互補完により競争力を高める狙いだ。

さらに、両社は自動運転やコネクティッド技術の分野でも連携を拡大。2023年には、トヨタや他社向けに統合型ECU(電子制御ユニット)を共同開発する方針を明らかにしている。これにより、開発コストの削減と製品投入の迅速化を図る。

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日立Astemo、統合効果を模索

日立製作所とホンダ、日産自動車、三菱自動車の出資で2021年に設立された日立Astemoも、EVシフトに対応した再編を進めている。同社はブレーキやサスペンション、エンジン部品など幅広い製品を手掛けるが、EV化に伴い、回生ブレーキや電子制御サスペンションなどの電動化製品に注力する方針だ。

2022年には、ブレーキ事業の一部を米国の部品大手に売却するなど、ポートフォリオの見直しを加速。日立AstemoのCEOは、「EVシフトは当社にとって大きなチャンス。統合によるスケールメリットを生かし、電動化と自動運転の分野でグローバル競争に勝ち抜く」と述べている。

中小サプライヤーに迫る再編の波

大手の統合が進む一方、中小サプライヤーは厳しい経営環境に直面している。内燃機関向け部品の受注減少に加え、EV向け部品への設備投資負担が重く、生き残りを模索する企業が増えている。

自動車部品業界の団体によると、2023年度の国内部品メーカーの倒産件数は前年比15%増の120件に上り、このうち約半数がエンジン関連部品メーカーだった。業界アナリストは「EVシフトはサプライヤーにとって死活問題。今後3~5年で、中小サプライヤーの3割が事業転換や統合を迫られる可能性がある」と指摘する。

政府も再編支援に乗り出す

経済産業省は、自動車部品産業の再編を支援するための補助金制度を2024年度に創設する方針だ。EVや自動運転向け部品への転換を図る中小企業に対し、開発費の一部を補助するほか、M&Aによる統合を促進する税制優遇措置を検討している。

経産省の担当者は「日本の自動車部品産業は世界トップクラスの技術力を持つが、EVシフトで従来のビジネスモデルが通用しなくなる。官民一体で再編を進め、競争力を維持する必要がある」と強調する。

業界再編の行方

自動車部品業界の再編は、今後さらに加速するとみられる。デンソーやアイシン、日立Astemoなどの大手は、EV向け部品の開発・生産で協業・統合を進めるとともに、自動運転やコネクティッドなどの新技術分野でも連携を強化する見通しだ。

一方、中小サプライヤーは、生き残りをかけて事業の選択と集中を迫られる。業界団体の調査では、部品メーカーの約7割が今後5年以内に何らかの事業再編が必要と回答しており、M&Aや業務提携の動きが活発化すると予想される。

EVシフトは自動車産業のサプライチェーン全体に変革を迫っている。部品大手の統合はその象徴的な動きであり、今後の業界地図を大きく塗り替える可能性がある。

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