国際エネルギー機関(IEA)は最新の報告書で、2030年までに世界の新車販売の半数が電気自動車(EV)になるとの予測を発表した。この成長を支える主な要因として、各国政府の補助金政策や充電インフラの整備が挙げられる。
EV販売の急増と政策支援
IEAの報告によれば、2022年の世界のEV販売台数は約1000万台に達し、前年比55%増となった。この勢いが続けば、2030年には年間販売台数が約7000万台に達し、新車販売全体の50%を占める見通しだ。特に中国、欧州、米国が主要市場となり、これらの地域で販売の大部分を占めると予測されている。
各国政府はEV普及を促進するため、購入補助金や税制優遇措置を導入している。例えば、米国ではインフレ抑制法に基づき、EV購入に対して最大7500ドルの税額控除が適用される。欧州連合(EU)も2035年までに内燃機関車の新車販売を事実上禁止する方針を打ち出しており、これがEVシフトを加速させている。
充電インフラの整備が鍵
EV普及の課題の一つは充電インフラの整備である。IEAは、2030年までに世界で約2000万基の充電ポイントが必要と試算している。2022年末時点での充電ポイントは約270万基であり、大幅な増設が求められる。日本でも、政府は2030年までに充電インフラを30万基に増やす目標を掲げている。
「充電インフラの整備はEV普及の鍵を握る」とIEAのビロル事務局長は指摘する。「政府と民間セクターが協力して、充電ネットワークを拡大することが重要だ」と述べている。
バッテリー技術の進化とコスト低減
EVのコスト低減も普及を後押ししている。バッテリー価格は過去10年で約80%低下し、2022年には1kWhあたり約150ドルとなった。IEAは、さらなる技術革新により2030年には1kWhあたり100ドルを下回ると予測している。これにより、EVの価格が内燃機関車と同等かそれ以下になる可能性がある。
また、バッテリーのエネルギー密度向上により、航続距離も延びている。現在のEVの平均航続距離は約400kmで、2030年には600km以上になると見込まれている。
自動車メーカーの戦略転換
自動車メーカーもEVシフトに対応した戦略を打ち出している。トヨタは2030年までに30車種のEVを投入し、年間350万台の販売を目指す。フォルクスワーゲンは2030年までにEV販売比率を50%以上に引き上げる計画だ。これらの動きは、IEAの予測と一致している。
一方で、原材料の調達やサプライチェーンの構築が課題となっている。リチウムやコバルトなどの重要鉱物の価格高騰が、バッテリーコストに影響を与える可能性がある。IEAは、鉱物の安定供給とリサイクル技術の開発が重要だと強調している。
以上のように、IEAの報告はEVシフトが加速していることを示しており、2030年までに新車販売の半数がEVとなる見通しが現実味を帯びている。



