EVシフト加速、中国勢が日本市場に攻勢 トヨタ・日産・ホンダの戦略は
EVシフト加速、中国勢が日本市場に攻勢

世界の電気自動車(EV)市場で中国勢の攻勢が強まる中、日本の自動車メーカーは巻き返しを図る戦略を加速している。トヨタ自動車は次世代電池を搭載したEVを2026年に投入すると発表し、日産自動車はEVのコストを半減する目標を掲げた。ホンダも中国市場でのEV販売を強化するなど、各社の動きが活発化している。

中国勢の存在感拡大と日本メーカーの現状

国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、2023年の世界のEV販売台数は約1400万台に達し、前年比35%増となった。このうち中国市場は約60%を占め、比亜迪(BYD)や上海汽車などの中国メーカーが販売を牽引している。一方、日本のEV販売台数は約8万8000台で、新車販売に占めるEV比率は2%未満と主要国の中で最低水準にある。

日本政府は2035年までに新車販売を全て電動車(EVやハイブリッド車など)にする目標を掲げているが、現状のEV普及率は目標達成にほど遠い。日本の自動車メーカーはハイブリッド車(HV)に強みを持ってきたが、EVシフトの遅れが指摘されている。

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トヨタの戦略:次世代電池と多様な電動車

トヨタは2023年に開催した技術説明会で、2026年に次世代電池を搭載したEVを投入する計画を明らかにした。この次世代電池は航続距離を現行比で20%以上延ばし、コストを20%削減するという。さらに、全固体電池の実用化も視野に入れており、2027年以降に搭載車を投入する方針だ。

トヨタの佐藤恒治社長は「EVだけでなく、HVや燃料電池車など、多様な選択肢を顧客に提供する」と述べ、一本足打法ではない戦略を強調している。しかし、中国市場ではBYDなどのEV攻勢に押され、トヨタの販売台数は減少傾向にある。

日産の挑戦:コスト半減と新技術

日産自動車は2023年3月に発表した中期経営計画で、2026年度までにEVのコストを現行比で50%削減する目標を掲げた。具体的には、部品点数の削減や生産工程の効率化、共通プラットフォームの活用などで実現を目指す。また、2028年度までに全固体電池を搭載したEVを市場投入する計画も公表している。

日産はリーフでEV市場を先駆けたものの、その後は競合に追い抜かれた。内田誠社長は「EVの普及には価格が重要だ。コスト削減で競争力を高める」と述べ、中国勢との価格競争に備える姿勢を示している。

ホンダの対応:中国市場でのEV強化

ホンダは2023年10月、中国市場で新型EV「e:NP2」と「e:NS2」を発表し、2024年から販売を開始すると明らかにした。また、中国の現地パートナーである広州汽車や東風汽車との協業を強化し、2027年までに中国市場で10車種のEVを投入する計画だ。

ホンダの三部敏宏社長は「中国市場はEVシフトが最も速い。現地のニーズに合わせた商品を投入する」と述べ、中国市場でのEV販売比率を2030年までに40%にする目標を掲げている。一方、日本市場では2024年に新型EV「N-VAN e:」を発売するなど、徐々にラインアップを拡充している。

日本市場の課題と今後の展望

日本のEV普及が遅れている要因として、充電インフラの不足や車両価格の高さ、消費者のHV志向などが挙げられる。経済産業省は2030年までに充電スタンドを30万基に増やす目標を掲げているが、現状は約3万基にとどまる。また、EVの平均価格は約500万円と、同クラスのHVより100万円以上高い。

日本自動車工業会の豊田章男会長は「EV一辺倒ではなく、カーボンニュートラルの実現には多様な選択肢が必要だ」と述べ、技術中立の立場を強調している。しかし、中国勢の低価格EV攻勢や欧州の厳しい排出規制を踏まえ、日本メーカーもEV戦略を加速せざるを得ない状況にある。

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今後の日本市場では、2024年以降に各社から新型EVが相次いで投入される見込みで、競争が激化すると予想される。トヨタの次世代電池や日産のコスト削減策が実現すれば、EVの普及が加速する可能性がある。一方で、中国勢の日本市場参入も現実味を帯びており、国内メーカーは厳しい競争に直面している。