EVシフト加速で部品大手が生き残りへ、電動化対応で業界再編
EVシフト加速で部品大手が生き残りへ、電動化対応で業界再編

電気自動車(EV)シフトの加速に伴い、自動車部品業界で再編の動きが活発化している。エンジンやトランスミッションなど従来の内燃機関向け部品の需要が減少する一方、モーターやバッテリー、パワーエレクトロニクスなどの電動化部品への需要が急増しており、部品メーカーは生き残りをかけた対応を迫られている。

大手部品メーカーの電動化戦略

デンソーは2035年までに電動化関連の売上高を現在の約2倍の1兆円規模に引き上げる目標を掲げている。同社はEV向けのインバーターやモーター、バッテリー管理システムなどの開発を加速しており、2025年までに全製品の電動化対応を完了する方針だ。

また、アイシンも2025年までに電動化関連の売上高を現在の約3倍の5000億円に拡大する計画を発表している。同社はトヨタ自動車との協業を強化し、EV向けのeアクスル(モーター、インバーター、ギアボックスを一体化した駆動ユニット)の量産を進めている。

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業界再編の動き

こうした環境変化を受け、部品業界では再編の動きが相次いでいる。2023年には、大手部品メーカーのジェイテクトとトヨタ自動車が、電動化部品の共同開発で合意した。両社はEV向けの小型・高効率モーターの開発を進め、2025年までの量産開始を目指す。

さらに、2024年には住友電気工業と日立製作所が、EV向けのパワー半導体事業で合弁会社を設立することを発表した。両社は次世代の炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の開発・生産で協力し、2027年までに量産開始を目指す。

サプライチェーンの変革

EVシフトはサプライチェーン全体にも大きな変革をもたらしている。従来のエンジン部品を中心としたサプライチェーンから、バッテリーやモーター、パワーエレクトロニクスなどの電動化部品を中心としたサプライチェーンへの移行が進んでいる。

特に、バッテリーサプライチェーンの構築が急務となっている。国内の自動車メーカーは、パナソニックやGSユアサなどと連携し、バッテリーの安定調達に向けた取り組みを強化している。また、トヨタ自動車は2024年、子会社のプライムアースEVエナジーを通じて、次世代リチウムイオンバッテリーの生産能力を2030年までに現在の約5倍に拡大する計画を発表した。

中小部品メーカーの苦境

一方、大手に比べて資金力や技術力で劣る中小部品メーカーは、厳しい状況に立たされている。特に、エンジン部品を主力とする中小企業は、EVシフトによる需要減少に対応できず、廃業や事業譲渡を余儀なくされるケースが増えている。

経済産業省の調査によると、2023年度に自動車部品業界で廃業した中小企業は前年度比約20%増の120社に上った。このうち、約7割がエンジン関連部品を主力としていた企業だった。政府は中小企業の事業転換を支援するため、補助金や低利融資などの制度を拡充しているが、抜本的な対策が求められている。

今後の展望

自動車部品業界の再編は今後も加速するとみられる。特に、電動化対応に必要な研究開発費や設備投資の増大により、生き残れる企業は限られてくる。業界関係者は「今後5年から10年の間に、現在の部品メーカーの約3割が市場から退出する可能性がある」と指摘する。

一方で、電動化は新たなビジネスチャンスも生み出している。例えば、EV向けの熱マネジメントシステムや、車両の軽量化に貢献する素材など、新たな需要が拡大している。こうした分野に特化したベンチャー企業の台頭も目立つ。

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日本の自動車部品産業が世界市場で競争力を維持するためには、電動化への迅速な対応とともに、業界全体の再編・統合を進めることが不可欠だ。政府と業界が一体となった戦略的な取り組みが求められる。