EV販売の急ブレーキ
世界的な電気自動車(EV)需要の減速が加速している。日産自動車と三菱自動車が、EVの生産調整に踏み切ることが明らかになった。日産は北米の工場でEV生産ラインの稼働を減速し、三菱自動車は国内工場で一部EVモデルの生産を一時停止する。両社の動きは、EV市場の成長鈍化を象徴している。
日産、北米で生産減速
日産自動車は、米国テネシー州のスマーナ工場で、EV「アリア」の生産ラインを減速する。同工場では2024年からアリアの生産を開始したが、販売が計画を下回っているため、生産速度を落とす。日産の広報担当者は「需要動向を踏まえ、生産計画を柔軟に調整する」と述べている。日産は2026年までに北米でEV生産能力を倍増する計画だったが、現状では見直しを迫られている。
三菱自、国内工場で一時停止
三菱自動車は、岡崎製作所(愛知県)で生産する軽EV「eKクロスEV」の生産を、2025年1月から一時停止する。同モデルは2022年に発売されたが、販売が伸び悩んでいる。三菱自の広報担当者は「在庫調整のため、一時的に生産を停止する」と説明している。再開時期は未定で、需要の回復を見極める方針だ。
背景にある需要減速の要因
EV需要の減速には複数の要因が指摘されている。各国政府によるEV購入補助金の縮小や廃止が消費者の購入意欲をそいでいる。特に欧州では、ドイツが2023年末に補助金を打ち切り、フランスも対象を絞り込んだ。また、中国メーカーによる低価格EVの攻勢で価格競争が激化し、収益性が悪化している。さらに、充電インフラの整備遅れや航続距離への不安も、消費者がEV購入をためらう理由となっている。
業界全体に広がる調整の波
日産や三菱自動車の動きは、業界全体の傾向を反映している。米テスラは2024年に世界販売台数が初めて前年比で減少し、生産調整を実施。ドイツのフォルクスワーゲンも、EV工場の稼働率低下に直面している。日本勢では、トヨタ自動車もEV販売が計画を下回っており、生産計画の見直しを検討していると報じられている。
今後の見通し
EV需要の減速は一時的なものか、構造的な変化か。専門家の間では意見が分かれている。一方で、環境規制の強化が続く中、長期的にはEVシフトが進むとの見方は根強い。ただ、短期的には各社が在庫調整と収益改善に追われることになりそうだ。日産と三菱自の生産調整は、その象徴的な事例と言える。



