世界最大の電気自動車(EV)用バッテリーメーカーである中国のCATL(寧徳時代新能源科技)が、EV販売の減速を受けて生産調整を開始した。同社は一部工場の生産ラインを停止し、在庫調整を進めている。
需要減速に対応した生産調整
CATLは、中国・福建省寧徳市の本社工場を含む複数の拠点で、一部の生産ラインを停止した。これは、世界的なEV販売の鈍化によりバッテリー需要が減少しているためだ。同社の広報担当者は「市場の需要変動に応じて生産計画を柔軟に調整している」とコメントしている。
2023年、中国のEV販売台数は前年比で約35%増加したが、2024年に入り成長率は鈍化。特に、補助金の縮小や経済減速が影響している。これにより、CATLの2024年第1四半期の出荷量は前期比で約10%減少したとみられる。
業界全体への影響
CATLの減産は、バッテリー業界全体に波及する可能性がある。同社は世界市場の約37%のシェアを占めており、その生産調整はサプライチェーン全体に影響を及ぼす。特に、バッテリー原材料であるリチウムやコバルトの価格低下を招く恐れがある。
リチウム価格は2023年初頭から下落傾向にあり、2024年5月時点で1トンあたり約1万2000ドルと、2022年のピーク時から約80%下落している。CATLの減産は、この傾向をさらに加速させる可能性がある。
今後の見通し
CATLは、中長期的にはEV需要の回復を見込んでいるが、当面は需要の変動に応じた柔軟な生産体制を維持する方針だ。また、同社はエネルギー貯蔵システム(ESS)や二輪車向けバッテリーなど、EV以外の分野への事業拡大も進めている。
業界アナリストは「CATLの減産は一時的な調整であり、長期的なEV市場の成長見通しに変わりはない」と指摘する。しかし、短期的にはバッテリー価格の下落やメーカーの収益悪化が懸念される。



