EV販売減速でバッテリー原料価格が急落
電気自動車(EV)の販売が世界的に減速する中、バッテリーの主要原材料であるリチウム、コバルト、ニッケルの価格が急落している。リチウムは過去1年で約80%下落し、コバルトとニッケルもそれぞれ50%、30%下落した。この価格下落は、EV需要の鈍化に加え、供給過剰が原因とみられる。
リチウム価格、1年で80%下落
リチウム価格の指標となる炭酸リチウムの価格は、2022年11月に1トンあたり約8万元(約160万円)だったが、2023年11月には約1万5000元(約30万円)まで下落した。これは、中国を中心としたリチウム生産の急増と、EV販売の伸び悩みが重なった結果だ。オーストラリアやチリなどの主要生産国では、低価格を受けて鉱山の閉鎖や生産停止が相次いでいる。
コバルトとニッケルも下落基調
コバルト価格も、2022年の高値から約50%下落した。コンゴ民主共和国(DRC)からの供給増加に加え、EVバッテリーにおけるコバルト使用量の削減が進んでいることが要因だ。ニッケル価格も、インドネシアでの生産拡大により約30%下落し、一部の高コスト鉱山は採算割れに陥っている。
需要回復の見通しは不透明
EV販売の減速は、各国の補助金縮小や充電インフラの整備遅れが背景にある。米国や欧州では、内燃機関車からの移行が予想より遅れており、中国市場でも競争激化により成長率が鈍化している。業界関係者は「需要回復には少なくとも1年はかかる」と見ており、バッテリー原料価格の低迷は長期化する可能性がある。
業界再編が加速
価格下落により、リチウム鉱山会社の株価は大きく下落し、一部の企業は事業売却や合併を検討している。また、バッテリーメーカーも原料調達コストの低下を享受する一方、在庫評価損に苦しんでいる。アナリストは「低価格環境は、弱い企業を淘汰し、業界再編を促進するだろう」と指摘する。



