世界の電気自動車(EV)市場の成長が鈍化する中、中国の自動車メーカーが低価格帯のEVを武器に攻勢を強めている。これにより、トヨタ自動車が長年推進してきたハイブリッド車(HV)戦略は大きな試練に直面している。
EV市場の減速と中国勢の台頭
国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、2024年の世界のEV販売台数は前年比約20%増の約1700万台と予想されるが、2023年の35%増から成長率は鈍化している。一方、中国のEVメーカーである比亜迪(BYD)は、2024年第1四半期に世界で約30万台のEVを販売し、前年同期比で13%増加した。BYDは低価格モデル「シーガル」を約1万ドルで投入し、新興国市場での需要を取り込んでいる。
トヨタのハイブリッド戦略の現状
トヨタはHVに注力してきたが、2024年3月期の連結決算で営業利益が過去最高の5兆円を超えたものの、EV販売は約10万台にとどまった。同社は2030年までにEV販売を350万台に引き上げる目標を掲げるが、中国勢の低価格攻勢により、新興国市場でのHV需要がEVにシフトするリスクが高まっている。
新興国市場での競争激化
インドや東南アジアなどの新興国では、価格感応度が高く、中国製の低価格EVが急速にシェアを拡大している。トヨタはHVのコスト競争力を強化するため、次世代HVの開発を加速しているが、専門家は「トヨタがHVに固執すれば、新興国市場で中国勢に後れを取る可能性がある」と指摘する。
トヨタの対応と今後の展望
トヨタは2026年までに次世代EVを投入し、航続距離や充電時間の改善を図る方針だ。また、HVとEVの両方を展開する「マルチパスウェイ戦略」を掲げるが、中国勢の低価格攻勢に対抗するためには、さらなるコスト削減と現地生産の拡大が不可欠とみられる。



