ダイハツ工業は、2025年秋に発売を予定している新型軽電気自動車(EV)の詳細を明らかにした。車名は「ムーヴEV」で、軽自動車規格を維持しながら、航続距離320km、価格300万円未満を実現する。これは、現在国内軽EV市場でトップを走る日産サクラ(航続距離約180km、価格約240万円〜)を大きく上回る性能だ。
航続距離320kmの実現と技術的革新
ムーヴEVの航続距離は、同社が開発した高エネルギー密度のリチウムイオンバッテリーと、軽量ボディ設計によって達成された。バッテリー容量は明らかにされていないが、ダイハツのエンジニアによれば「軽EVの常識を覆す効率性」を追求したという。また、急速充電に対応し、30分で80%までの充電が可能だ。
この航続距離は、都市部での日常使いはもちろん、週末の小旅行にも十分対応できるレベルだ。日産サクラの実用航続距離が約120kmであるのに対し、ムーヴEVは約2.5倍の距離を走れる計算になる。
価格戦略と市場への影響
価格は300万円未満を目標としており、実際には280万円前後になる見込みだ。これは、日産サクラの最上級グレード(約260万円)よりやや高いが、航続距離を考慮すればコストパフォーマンスは高い。ダイハツは、軽自動車の販売網を活用し、全国のディーラーで販売する計画だ。
「軽EV市場はまだ黎明期ですが、ユーザーの航続距離への不安を解消することで、EV普及の起爆剤になりたい」とダイハツの広報担当者は述べている。また、政府のCEV補助金を活用すれば、実質的な購入価格は200万円台前半になる可能性もある。
競合との比較と今後の展望
現在、国内の軽EV市場は日産サクラと三菱eKクロスEVが主流だが、両車とも航続距離は180km程度だ。ダイハツの新型車は、その航続距離で明確な差別化を図る。さらに、ダイハツはトヨタ自動車との協業により、バッテリーやモーターの共通化を進めており、コスト削減にも成功した。
業界関係者は「ダイハツの参入で軽EV市場が活性化するのは間違いない。価格競争が激化し、消費者にとって選択肢が広がる」と分析する。一方で、充電インフラの整備が依然として課題であり、特に地方での充電スポット不足が普及の障壁となっている。
今後のラインナップ拡充
ダイハツはムーヴEVを皮切りに、2026年以降も軽EVのラインアップを拡充する計画だ。次期モデルとして、タントEVやハイゼットEVの投入も検討されている。また、商用車向けの軽EVも開発中で、配送業者などからの需要を見込んでいる。
同社は、2030年までに新車販売の50%を電動車両にする目標を掲げており、今回のムーヴEVはその第一歩となる。軽自動車の電動化は、日本の自動車産業にとって重要な転換点であり、ダイハツの挑戦が業界に与える影響は大きい。



