EVシフト加速、中国勢が席巻する東南アジア市場の現実
EVシフト加速、中国勢が席巻する東南アジア市場 (01.07.2026)

東南アジアの電気自動車(EV)市場で、中国メーカーの存在感が急速に高まっている。タイでは2023年のEV新車販売の約80%を中国ブランドが占め、日本車の牙城を崩しつつある。この背景には、中国政府の積極的なEV輸出戦略と、東南アジア各国のEV普及政策がある。

タイ市場で中国EVが席巻

タイ自動車協会のデータによると、2023年のタイ国内のEV販売台数は約7万6000台。そのうち、中国の比亜迪(BYD)が約3万台でトップ、上海汽車(SAIC)のMGブランドが約1万8000台で続いた。日本メーカーでは日産リーフが約1000台と、大きく水をあけられている。

タイ政府は2030年までに新車販売の30%をEVにする目標を掲げ、購入補助金や輸入関税の引き下げなど優遇策を打ち出している。これに中国メーカーが積極的に応じ、現地生産も開始。BYDは2024年にタイ工場を稼働させ、年間15万台の生産を計画する。

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日本メーカーの苦戦

日本メーカーはこれまでハイブリッド車(HV)で東南アジア市場を席巻してきたが、EVシフトで出遅れている。トヨタは2022年にタイでEV「bZ4X」を発売したが、価格が高く販売は伸び悩む。ホンダも2024年にEV投入を予定するが、中国勢の先行を許している。

業界関係者は「日本メーカーはHVで成功したが、EVへの転換が遅れた。中国勢は価格競争力と政府支援を武器に、一気にシェアを拡大している」と指摘する。

インドネシア・マレーシアでも拡大

タイだけでなく、インドネシアやマレーシアでも中国EVの販売が増加。インドネシアでは2023年のEV販売が前年比2倍以上に増え、中国の五菱汽車(Wuling)がシェア首位。マレーシアでもBYDや长城汽車(Great Wall Motor)が販売網を広げている。

東南アジア全体のEV市場は2023年に約13万台と、前年比約3倍に拡大。国際エネルギー機関(IEA)は2030年には100万台を超えると予測する。

中国勢の戦略と課題

中国メーカーは低価格帯から高級車まで幅広いラインアップで攻勢。BYDの「ATTO 3」はタイで約120万バーツ(約500万円)と、同クラスの日本製HVより安い。また、バッテリー交換ステーションの設置などアフターサービスも強化する。

一方で、品質面での懸念も指摘される。タイ消費者団体は「一部の中国EVでバッテリーの劣化が早い」と報告。また、中国企業の進出に伴い、現地部品メーカーとの摩擦も生じている。

今後の展望

日本メーカーも巻き返しを図る。トヨタは2026年までに次世代EVを投入し、タイでの生産能力を拡大。ホンダも2025年までにEV専用工場を建設する計画だ。しかし、中国勢の勢いを止めるのは容易ではない。

専門家は「東南アジア市場は今後10年でEVの主戦場になる。日本メーカーはHVの技術を活かしつつ、EVの価格競争力と現地生産体制を強化する必要がある」と分析する。

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