中国の電気自動車(EV)大手BYD(比亜迪)の世界販売台数が急拡大し、米テスラを追い抜く勢いを見せている。2024年第1四半期(1~3月)の世界販売台数は前年同期比13%増の30万2514台に達し、テスラの同約8%減の38万6810台に迫った。このままのペースが続けば、年内にも世界販売首位の座を奪う可能性がある。
低価格戦略と電池技術が原動力
BYDの強みは、独自開発のリン酸鉄リチウムイオン電池「ブレードバッテリー」による低コスト化と、幅広い価格帯の車種展開にある。主力の「海豚(ドルフィン)」や「海豹(シール)」などの価格は10万元(約200万円)台前半からと、テスラの「モデル3」の約30万元(約600万円)に比べて大幅に安い。これにより、中国国内だけでなく東南アジアや欧州など新興国市場でも需要を掘り起こしている。
日本市場での攻勢
日本市場でも2023年に乗用車販売を開始し、2024年には「海豚」や「海豹」を投入。2025年までに100店舗体制を目指す。日本自動車販売協会連合会によると、2024年上半期のBYDの日本での新車販売台数は前年同期比23%増の約2000台。日本のEV市場シェアはまだ2%程度だが、低価格を武器に徐々に浸透している。
テスラの苦戦とBYDの課題
一方、テスラは2024年第1四半期の販売が市場予想を下回り、在庫調整や値下げ競争の影響で収益性が悪化。イーロン・マスクCEOは「第2四半期は改善を見込む」と述べたが、中国市場ではBYDとの競争が激化している。BYDも補助金縮小や欧州での関税引き上げリスクなど課題はあるが、2024年の世界販売目標は300万台と野心的だ。
業界への影響
BYDの躍進は、EV業界の勢力図を塗り替える可能性がある。従来の自動車大手はEVシフトで後れをとり、テスラ一強だった市場に中国勢が台頭。日本メーカーもトヨタが2026年に次世代EVを投入するなど巻き返しを図るが、BYDの低価格攻勢に対抗するのは容易ではない。専門家は「BYDが世界販売でテスラを超えるのは時間の問題」と指摘する。



