中国市場における電気自動車(EV)シフトの加速が、日本自動車メーカーと部品大手に戦略転換を迫っている。中国政府のEV推進政策と地元メーカーの台頭により、日本車の販売シェアは低下。これに伴い、デンソーやアイシンなど部品大手も中国向けビジネスの見直しを余儀なくされている。
中国EV市場の急拡大と日本車の苦戦
中国では2023年にEV販売台数が前年比35%増の約700万台に達し、新車販売に占めるEV比率は25%を超えた。一方、日本メーカーの中国販売台数は減少傾向にあり、トヨタは2023年に前年比2%減、日産は16%減、ホンダは10%減と低迷。特にEV分野では中国メーカーのBYDや蔚来汽車(NIO)が急成長し、日本車の存在感は薄れている。
こうした状況下、日本自動車部品メーカーは中国市場での戦略見直しを迫られている。デンソーは2023年度に中国事業の売上高が前期比5%減の約1兆円となる見通し。同社は中国での内燃機関向け部品需要減少を受け、EV向け部品の生産拡大を計画。具体的には、2025年までに中国でEV用熱管理システムの生産能力を現在の2倍に引き上げる方針だ。
部品大手、EVシフトへの対応急ぐ
アイシンも同様に、中国での事業構造改革を進める。同社は2024年に中国の変速機工場の一部をEV用駆動モジュール工場に転換する計画。これにより、年間生産能力を50万基から100万基に倍増させる。アイシンの担当者は「中国市場のEVシフトは想定以上に速い。対応を急がなければ競争力を失う」と述べている。
また、日本の部品メーカーは中国地元メーカーとの提携も強化。デンソーは2023年、中国のEVメーカーである小鵬汽車と熱管理システムの共同開発契約を締結。アイシンもBYDに駆動モジュールを供給するなど、中国EVメーカーへの営業を積極化している。
脱炭素化と技術競争の激化
中国政府は2030年までに新車販売の50%をEVとする目標を掲げ、補助金や規制でEV普及を後押し。これにより、中国市場ではEV関連技術の競争が激化している。日本メーカーはハイブリッド車(HV)で強みを持つが、EVでは出遅れている。部品大手も、HVからEVへの技術シフトを加速せざるを得ない。
日本の部品メーカーにとって、中国市場は売上高の約2割を占める重要な市場。しかし、EVシフトによる需要構造の変化は、従来のビジネスモデルの見直しを迫る。デンソーは2025年までに中国のエンジン部品工場の一部を閉鎖し、EV部品工場に転換する方針。これにより、固定費削減と電動化対応を同時に進める。
今後の展望とリスク
中国市場での日本メーカーの苦戦は、世界の自動車産業の地図を変える可能性がある。部品大手の戦略転換が成功するかどうかは、EV技術の開発速度とコスト競争力にかかっている。また、地政学的リスクや中国市場の急変にも注意が必要だ。
専門家は「日本の部品メーカーは中国市場で生き残るため、EV向け部品の技術開発と現地企業との連携をさらに強化すべき」と指摘する。一方で、中国市場への過度な依存はリスクも伴うため、他地域での事業多角化も重要となる。



