世界的な電気自動車(EV)シフトに逆風が吹くなか、中国勢が低価格EVを武器に攻勢を強めている。一方、日本メーカーはハイブリッド車(HV)や水素燃料電池車(FCV)など複数の技術で生き残りを模索している。
EV需要減速と中国勢の躍進
2024年、世界のEV販売台数は前年比で約20%増加したものの、成長率は鈍化傾向にある。特に欧州では補助金縮小が響き、EV販売が伸び悩んでいる。そうした中、中国の比亜迪(BYD)は2024年に世界で約300万台のEVを販売し、テスラを抜いて世界最大のEVメーカーとなった。BYDの強みは、低価格帯のEV「シーシリーズ」や「ドルフィン」などで、日本市場にも参入し、2024年には約2万台を販売した。
日本メーカーの苦境
日本メーカーは、EVシフトで出遅れた。トヨタは2024年のEV販売台数が約10万台と、世界シェア1%未満。日産はリーフの後継車「アリヤ」を投入したが、販売は伸び悩んでいる。ホンダはGMとの共同開発を中止し、自社開発に舵を切った。日本メーカーの苦戦の要因は、EVに特化したプラットフォームの開発遅れや、バッテリー調達の課題にある。
多路線戦略で生き残りへ
日本メーカーは、EV一本槍ではなく、HVやFCV、水素エンジンなど複数の技術を並行開発する「マルチパスウェイ戦略」を掲げる。トヨタは2025年までにHVを中心に電動車販売を拡大し、2026年には次世代EVを投入する計画。日産は2026年までにEV販売台数を100万台に引き上げる目標を掲げるが、現状は遠い。
専門家は「日本メーカーが生き残るには、コスト競争力の向上と、電池の現地生産が不可欠」と指摘する。中国勢の低価格攻勢に対抗するには、日本メーカーも低コストなEVを投入する必要がある。また、電池のサプライチェーンを強化し、調達コストを下げることも重要だ。
今後の展望
EVシフトの流れは長期的には変わらないとみられる。IEA(国際エネルギー機関)は、世界のEV販売台数が2030年には4000万台を超えると予測する。日本メーカーがこの波に乗るには、早期のEVラインアップ拡充と、価格競争力の強化が急務だ。一方で、HV市場はまだ成長余地があり、日本メーカーは当面HVで収益を確保しながら、EVへの移行を進める戦略が現実的との見方もある。



