中国の電気自動車(EV)大手BYD(比亜迪)は、2025年までに日本市場で3つの新車種を投入し、販売店網を現在の約50店舗から100店舗に倍増させる計画を明らかにした。BYDの日本法人であるビーワイディージャパン(横浜市)の東福寺厚樹社長が、東京都内で開催された記者会見で発表した。
日本市場への本格参入と販売目標
BYDは2023年に日本市場に再参入し、SUV「ATTO 3」を皮切りに販売を開始。2024年にはコンパクトカー「ドルフィン」とセダン「シール」を投入し、ラインアップを拡充する。東福寺社長は「日本のお客様にEVの魅力を広く伝えるため、多様な車種を提供したい」と述べた。2024年の日本での販売目標は2万台に設定。これは日本のEV市場全体の約10%に相当する規模だ。
価格競争力と充電インフラ戦略
BYDの強みは、自社開発のブレードバッテリーなどによるコスト競争力だ。ATTO 3の価格は440万円(税込)で、同クラスの日本製EVより100万円以上安い。BYDは日本市場で販売する全車種に急速充電に対応した充電ケーブルを標準装備し、自社の充電ネットワーク「BYDチャージ」を全国に展開する計画。また、販売店では試乗や充電サービスを提供し、顧客満足度を高める方針だ。
競合他社との差別化と課題
日本市場では、日産自動車の「リーフ」や「サクラ」、テスラの「モデル3」などが競合となる。BYDは価格面で優位性を持つが、ブランド認知度やアフターサービス網の整備が課題だ。東福寺社長は「日本製EVと比較して、価格だけでなく性能やデザインでも優れている。今後は販売店の充実と顧客サポートに注力する」と語った。BYDは日本で部品調達や生産拠点の設置も検討しており、長期的な市場定着を目指す。
世界戦略と日本市場の位置づけ
BYDは世界では2023年に約302万台のEVを販売し、中国市場でトップシェアを誇る。日本市場への本格参入は、世界戦略の一環として位置づけられている。日本のEV市場は2023年に約8万8000台と、新車販売全体の約2%に過ぎないが、政府のカーボンニュートラル目標や補助金制度により、今後急速な拡大が見込まれている。BYDは日本市場での成功を足がかりに、さらに東南アジアや欧州市場への展開を加速させる方針だ。



