カナダ政府は、電気自動車(EV)への移行を加速する政策が、2030年までに約3700億カナダドル(約37.8兆円)の経済効果をもたらすとの試算を発表した。この試算は、カナダ自動車部品工業会(APMA)が実施した調査に基づくもので、EV関連産業の成長がカナダ経済全体に及ぼす影響を包括的に評価した。
EV移行政策の経済波及効果
APMAの報告書「Project Arrow」によると、EV移行政策はカナダの自動車産業だけでなく、鉱業、エネルギー、インフラ、テクノロジーなど広範なセクターに波及する。特に、リチウム、コバルト、ニッケルなどの重要鉱物の採掘・精製、バッテリー製造、充電インフラ整備が主要な成長分野として挙げられる。APMAのフラビオ・ボルペ会長は、「カナダはEV革命で世界をリードする絶好の位置にある。豊富な天然資源と高度な技術力、政府の強力な支援が競争優位性を生み出している」と述べた。
雇用創出と環境効果
同報告書は、EV関連産業が2030年までに直接・間接で約25万人の雇用を創出すると試算。さらに、ガソリン車からEVへの移行により、年間約3000万トンのCO2削減効果が見込まれる。カナダ政府は2035年までに新車販売の100%をゼロエミッション車とする目標を掲げており、今回の試算はその実現可能性を裏付けるものだ。カナダ政府は、EVバッテリー製造への大規模投資を促進するため、連邦・州レベルでの補助金や税制優遇措置を拡充している。
課題と今後の展望
一方で、充電インフラの整備遅れや、鉱物資源の採掘に伴う環境負荷、国際競争の激化などの課題も指摘される。APMAは、政府と産業界の連携強化、研究開発投資の拡大、サプライチェーンの多様化が重要と提言している。カナダ政府は、これらの課題に対応するため、2023年から2030年にかけて総額約150億カナダドル(約1.5兆円)の投資計画を発表しており、EV充電インフラ整備やバッテリーリサイクル技術の開発に重点を置く。



