世界最先端のデジタル社会を実現しているエストニアのノウハウを秋田県や日本に取り入れて課題解決につなげようと、両国の研究者らが、仙北市角館に常設の研究拠点を設立する計画を進めていることが1日、わかった。設立を見据え、エストニア駐日大使の来県も今月中旬に予定されている。
人口減少や高齢化が進む秋田で、エストニアの知見や制度の導入・検証を行い、地域住民の生活の再構築を模索する。
主な研究テーマと目的
主な研究テーマは農林や教育、旅先で健康の維持・増進を図る「ウェルネスツーリズム」、デジタルガバナンスやサイバーセキュリティーなど。人口規模や森林資源の豊かさといった秋田とエストニアの共通点を踏まえ、秋田が直面する課題や、潜在的に持つ可能性へのアプローチを見据える。
秋田を日本とエストニアの学術連携を進める上での全国的な窓口にすることを目的にしており、年内の設立を目指している。
研究機関の体制と角館選定の理由
研究機関の役員には青山学院大や玉川大などの研究者や、エストニアの元政府関係者らが名を連ねる。エストニアのアンドレス・ウンガ駐日大使もオブザーバーとして参加する。
角館は、秋田新幹線が停車し、東北の各方面に行き来しやすく、ウェルネスツーリズムを行う上で有利な観光地。歴史的な資産が多いといったメリットもあり、目を付けた。
これまでの経緯と今後の予定
エストニアのノウハウの日本国内への導入にあたっては、本計画を進める研究者が山口県で実証を積んできた。県内への設立の動きは2020年にスタート。25年4月には、自民党県議6人がエストニアの首都タリンや第2の都市・タルトゥを視察するなどして、準備を重ねてきている。
設立を見据え、10月中旬にはウンガ大使が来県する。角館や八郎湖、県内の大学などを訪問する。鈴木知事とも面会する。
7月の就任以降、今回が初めての公式な地方訪問というウンガ大使は読売新聞の取材に「(環境に配慮する)グリーン技術や気候に関わる様々な取り組みに目を向ければ、双方の大学や研究者から見いだせるものは数多くある」と語る。
設立計画を進める研究者は「エストニアでできることは、人口規模が近い秋田でもできるかもしれない。EU(欧州連合)のエストニアと『JU(日本連合)』の一つとしての秋田県が、対等に連携できるようにしたい」と話した。
エストニアはバルト3国の一つで、人口は約136万人。面積は約4万5000平方キロ・メートルで、日本の約9分の1。IT立国化を国策として進めており、行政手続きのオンライン化や国政選挙での電子投票が導入されている。