トレンドマイクロは10月19日、国内でセキュリティインシデントが相次いでいることを受け、法人向け緊急支援策を開始すると発表した。対象となる法人に、同社のセキュリティツール「TrendAI Vision One」を利用するためのライセンスクレジット最大100万円相当を提供する。
TrendAI Vision Oneとは
TrendAI Vision Oneは、AI機能を備えたセキュリティ対策プラットフォームだ。クラウド、電子メール、PCやサーバ、データなどに対する脅威の検知・対処を横断で支援する。クレジットを提供する法人数や1社当たりの上限額は決めていない。
トレンドマイクロのエバ・チェン氏(社長兼CEO)は、昨今のサイバー攻撃について「攻撃を仕掛けるツールとしてAIを悪用している」と指摘。防御側もAIを使う重要性を強調し「当社はAIの脅威に対して何年も準備をしてきたが、究極の準備は整っていない」として、対策の強化と支援の必要性を訴えた。
Japan Cyber Resilience Initiativeの概要
同施策は、支援策のパッケージ「Japan Cyber Resilience Initiative」の一部だ。クレジット付与に加えて、専門人材によるセキュリティ対策なども展開する。この他、中小企業や個人向けの支援も実施。対象者のニーズを踏まえて段階的に提供する。
チェン氏は、日本が置かれている状況を「緊急事態」と表現した。トレンドマイクロの調査によると、国内で累計1億6000万件以上のID情報が窃取されたという。同社は、重複があると前置きして「漏えい件数は日本の人口よりも多い。攻撃スピードと規模が、これまで我々が目にしたものを超えている」と述べた。
「ごく短時間のうちに、企業のデータベースが侵害され、データが引き抜かれ、数日のうちに悪用される事態が散見される。だからこそ我々は緊急性を高めているし、法人は迅速に行動しなければならない」(チェン氏)
背景と今後の展望
日本企業が持つ最新情報や業務データは、規則正しく長期間保存されているため、攻撃者にとって「うまみ」があるという。従来の攻撃者は「攻撃コスト」と「見返り」を天秤にかけ、主に攻撃するメリットが大きい大企業を狙っていた。そこにAIの悪用が加わることで、攻撃プログラムの記述などを自動化できるようになり、攻撃が拡大しているとチェン氏は説明した。
こうした状況で、法人はセキュリティ対策を強化、高度化する必要がある。それを後押しするため、トレンドマイクロはJapan Cyber Resilience Initiativeを立ち上げた。
「当社は、創業35年を迎える。日本で生まれ、成長した企業だ。我々は日本を愛している。セキュリティインシデントが日本で起きるのをただ見ているわけにはいかない。(中略)全社一丸となって取り組むべきだと決断した」(チェン氏)