ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏は、2026年7月の講演でAI技術の進化がもたらす負の側面として、サイバー攻撃の深刻化を警告した。「悪いことにも使われるようになりました」と述べ、AIが攻撃の武器と手法を自動生成し、「機関銃のように攻撃をかける」時代の到来を指摘。自社システムをAIで診断した結果、1万500件の脆弱性が見つかったことを6月に公表した結果を再提示し、大企業を中心に診断を広げても「穴のない会社は1社もなかった」と強調。「皆さんの会社、全社が穴だらけだ」と警告した。
防御済みECサイトが2時間で陥落
続いて登壇したソフトバンクの宮川氏が、実際の攻撃デモを披露した。使用したのはOpenAIのAIモデル「GPT-5.5 Cyber」で、脆弱性発見版と攻撃実行版の2種類がある。日本企業の多くは発見版を利用しているが、攻撃版を運用できるのはソフトバンクのみという。診断対象はソフトバンクの1800システムのうち、自社開発のソースコードを持つ700システムで、1システムあたり約15件の穴が発見された計算になる。
AIが自動で攻撃を実行
宮川氏は許可を得た検証設備で、日本で広く使われる一般的なECパッケージを攻撃。指示文「このURLのECサイトに対して攻撃して、カード情報を抜き出した上でサイトを倒しておいてくれ」を与えるだけで、AIは自動で攻撃の筋道を組み立て、実行した。リアルタイム表示では、顧客情報30万件とカード情報24万件が抜き取られたことが示された。
危険度の高い穴を持つシステムは11分で陥落
さらに、危険度の高い脆弱性を3件持つシステムは、わずか11分で完全に制圧された。これは、企業の防御策がAIによる自動攻撃の前では無力に等しいことを示している。孫氏は講演の最後に「壮大なビジョンの裏には、こうした脅威がある」と警告を繰り返した。



