既製のソフトは自社の業務に合わない。カスタマイズしたシステムの開発を依頼すれば半年から1年もの時間がかかることもある。社員がAIで内製しても、その後の運用は誰が責任を取るのか。ラクスの新サービス「ASURACORE」は、これら3つの課題にまとめて答えようとしている。
AIと専門人材が自社専用システムを構築
ASURACOREでは、AIと専門人材が自社専用システムを最短1カ月で作り、作った後の保守まで引き受ける。価格は構築費60万円から、月額5万円からとなる見込みだ。
従来の受託開発でも、ノーコードツールでもない「第3の選択肢」は市場の勢力図をどう変えるのか。同社は10月14日の発表会で、勝算と戦略を語った。
自社専用システム導入への課題
ラクスが20〜60代の有職者1027人を対象に実施した独自調査によると、44.6%が「自社専用の業務システムを導入したい」と答えた。中村靖社長は「カスタムメイドではなくオーダーメイド、自社専用の業務システムを導入したいのが各企業の本音」と話す。
開発会社の売り上げは伸びている。ラクスが主要なSI企業(顧客ごとにシステムを個別に開発する会社)の売上高を合計したところ、2023年度の8.04兆円から25年度には9.48兆円に増えた。
ところが、自社専用の業務システムの導入を検討したことがある人のうち79.3%は、導入を断念したか、検討が本格化しなかった。断念した理由として最も多かったのは「開発・導入費用が高い」で58.3%を占めた。
費用以外の理由も上位に
費用以外の理由も上位に並ぶ。「社内にIT人材が不足している」が46.5%、「保守・運用に不安がある」が33.8%、「要件を整理できる人材がいない」が31.6%だ。何を作るかを決める人も、作った後に面倒を見る人もいない。費用に加え、人の不足も導入を阻んでいる。
ラクスはAI活用による業務フローの根本的な組み換えを通じて、未開拓市場の攻略を狙う。2027年度からの次期中計計画では、AI活用の効果を本格的に反映させる方針だ。保守的な企業層というIT化の「最後の砦」に、AIがどこまで浸透するのか。
目指すはARR100億円超。ラクス「楽々」ローンチの勝算。インボイス制度導入を機に、DXが急速に拡大してきた請求書受領サービス市場。SaaS企業の雄であるラクスも参入を発表した。数年でARR100億円超を目指すという、勝算の根拠とは。
日立が「SI全工程」をAI化。仕様確定で「最大240倍」効率化のワケ。日立は、エンジニア不足やシステム複雑化に対応するため、SIの全工程にAIを全面適用する「Agentic AI Integration Platform」を開発した。最先端AIと独自ノウハウを融合し、社内検証では画面仕様確定で最大240倍などの効率化を実証。顧客固有の暗黙知を蓄積しながら自律進化する仕組みを構築した。2027年度に工程全体で30%の生産性向上を目指し、金融や社会インフラなど大規模レガシーシステムの更新を推進する。