EV販売急減速でバッテリーリサイクル企業に暗雲、業界再編の兆し
EV販売減速でバッテリーリサイクル業界に暗雲

電気自動車(EV)の世界的な販売減速が、バッテリーリサイクル業界に深刻な影響を及ぼしている。リチウムイオン電池のリサイクルを手がける企業は、材料価格の下落と供給過剰に直面し、収益悪化に喘いでいる。業界関係者によると、複数のリサイクル企業が事業縮小や撤退を検討しており、業界再編の動きが加速している。

EV販売減速がリサイクル事業を直撃

国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、2024年の世界のEV販売台数は前年比でわずか8%増にとどまり、2023年の35%増から急減速した。特に欧州市場では補助金削減や充電インフラ不足が響き、販売が鈍化。これに伴い、使用済みバッテリーの回収量も想定を下回り、リサイクル工場の稼働率が低下している。

バッテリーリサイクル最大手のレッドウッド・マテリアルズ(米国)は2024年後半にネバダ州の工場拡張計画を延期。同社の広報担当者は「市場の需給バランスが想定より早く変化している」とコメント。また、欧州のリサイクル企業であるノースボルト(スウェーデン)も、2025年の生産目標を下方修正した。

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材料価格下落が収益を圧迫

リサイクル事業の収益は、回収したリチウム、コバルト、ニッケルなどの金属価格に依存する。しかし、これらの価格は2023年以降急落。リチウム価格は2022年のピーク比で約80%下落し、コバルトも50%以上値下がりした。このため、リサイクルコストを回収できず、赤字に陥る企業が相次いでいる。

業界アナリストのジェームズ・フリント氏(ブルームバーグNEF)は「リサイクル企業は材料価格の変動に脆弱で、低価格環境では生き残りが難しい。今後12〜18カ月で業界の統合が進むだろう」と指摘する。

供給過剰と技術的課題

さらに、EV需要の減速により、バッテリーメーカー自体も在庫調整を進めており、リサイクル企業への廃バッテリー供給が減少。一方で、リサイクル能力は過去数年の投資で急拡大しており、供給過剰の状態にある。

また、技術面でも課題が残る。現在のリサイクル技術では、回収率や純度にばらつきがあり、特にリチウムの回収コストが高い。新興企業の一部は、より効率的な湿式製錬技術の開発を進めているが、商業化には時間がかかる見通しだ。

政策支援と長期的な展望

各国政府はバッテリーリサイクルを戦略産業と位置づけ、補助金や規制で支援を強化している。EUは2025年から使用済みバッテリーの回収率目標を定め、米国もインフレ削減法(IRA)でリサイクル施設への税控除を提供。しかし、短期的な市場環境の悪化を覆すには至っていない。

それでも、長期的にはEV需要の回復とバッテリー廃棄量の増加が見込まれ、リサイクル市場の成長は確実視される。調査会社の予測では、2030年には世界のバッテリーリサイクル市場規模が現在の5倍に拡大する。業界再編を経て、競争力のある企業が生き残り、持続可能なサプライチェーン構築に貢献することが期待される。

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