Zoom、チャット問い合わせの98%をAIが無人解決 コンタクトセンターの新たなKPI
Zoom、チャット問い合わせの98%をAIが無人解決

Zoom Communicationsは、コンタクトセンター事業において、同社のバーチャルエージェント(AIによる自動応答)がチャット経由の問い合わせの98%を、有人の介在なしで解決している。同社はこれを、コスト削減策ではなく、コンタクトセンターの価値そのものを変革する取り組みと位置付ける。

コンタクトセンター市場の現状

国内のコンタクトセンター業務の外部委託(BPO)市場は、2024年度時点で1兆517億円。前年度比3.5%減となった(富士経済研究所調べ、事業者売上高ベース)。減少の主因はコロナ禍で拡大した大規模スポット需要の終了で、平常時の委託需要はむしろ拡大している。一方、コンタクトセンター向けシステムやクラウドを含むソリューション市場は4190億円で、前年比5.0%増。人手不足と効率化ニーズが伸びを支えている。

発注側では人件費の上昇と採用難が続く。安い人手をそろえ、応答時間と処理件数を管理し、1件当たりのコストを削る――といった従来の運営が成り立ちにくくなっている。

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新たなKPI:解決率とカスタマーエフォート

ZoomでCX(顧客体験)事業を統括するゼネラルマネージャーのクリス・モリッシー氏は、この行き詰まりを市場の転換点と見る。「これまで重宝されてきたのはコスト削減だった。今は、CXをどう戦略的な差別化要因にするかへ考え方が移っている」と話す。

では、コスト削減に代わって何の指標を重視すればよいのか。「顧客は、相手がAIかAIではないかを気にしない。求めているのは、迅速でパーソナライズされた体験だ」とモリッシー氏は指摘する。その上で、測るべき指標を2つ挙げた。「解決率とカスタマーエフォート。これが2つの新しいKPIだ」

問題を解決できたか。そして解決までに、顧客にどれだけ労力をかけさせたか。従来の応答時間や処理件数が「安心・さばけたか」を測る指標だとすれば、新しい2つは「顧客の用件が正しく片付いたか」を測る。

また、同じ用件で顧客が複数回問い合わせてくる割合を示す「リピートコンタクト率」も重要だと指摘する。顧客が同じ目的で何度も接触してくるなら、1回ごとの対応がいくら速くても、問題は解決していない。

それらの指標はどのように測定するのか。Zoomは音声・チャットのバーチャルエージェントから人間のオペレーターまで、顧客とのやりとり全件をAIに評価させている。顧客の感情がどう変化したか、顧客が最後に何と言ったか、質問に的確に答えられたか――といった項目で、対応のレベルを都度判断する。

ただし、Zoom自身がカスタマーエフォートを独自のスコアとして示しているわけではない。実務の主要指標はCSAT(顧客満足度)とチケットの初回解決率(FCR)で、応答時間など従来指標も廃止していないという。新KPIは確立した測定手法というより、評価思想の転換という位置付けだ。

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