クレジットカードのポイントは、どこから生まれているのか。原資をたどると、還元率には構造的な壁がある。壁を大きく超える数字が出てきたら、誰かがどこかで差額をかぶっている。
7月に発足したNTTドコモ・フィナンシャルグループの「最大4.5%」。その差額を誰が、なぜ負担するのか。たどっていくと、カードではなく銀行の事情に行き着いた。
還元率はどこから来るのか
ポイントの主な原資は、店が払う手数料である。カードで買い物をするたび、加盟店は決済額の一部を手数料としてカード会社側に払う。
公正取引委員会の実態調査(2022年4月)では、この加盟店手数料は単純平均で2.70%。ただ、ポイントを出すカード発行会社の取り分はもっと少ない。発行会社と加盟店側の契約会社が別の取り分だと、発行会社に入るのは取り分の1.56%にとどまる(同調査)。
カードの還元率は1%が実質的な上限だ、とよく言われる。この平均値を当てはめれば、1.0%の還元は手元に入る1.56%からポイント分を捻出して、ようやく成り立つ計算になる。
国際ブランドが公開する料率を見ると、事情はもっと厳しい。Mastercardの料率表では、コンビニやスーパーなどの日常利用にあたる区分で、スタンダードカードの標準料率は0.85%(2026年5月更新)。この区分に限れば、1.0%の還元は手数料収入を上回る計算だ。
だから、1%を大きく超える還元を続けるには、決済手数料の外から原資を持ってくるのが普通だ。出どころはだいたい決まっている。期間限定のキャンペーン費か、ゴールドカード以上の年会費か、リボ・分割の手数料か。いずれも、カード事業全体で収益化するための仕組みである。これが「1%の壁」の正体である。
ドコモの4.5%は、この計算に合わない
関連記事
「JALとANA」どこで違いが生まれたのか? コロナ禍を乗り越えた空の現在地
インバウンド需要が旺盛で、日本の観光業界が盛り上がりを見せています。では、航空会社の業績はどうなっているのでしょうか。JALとANAの決算をベースに分析したところ……。
3万円払っても欲しい? ATMでは使えないのに人気沸騰のメタルカード
JCBが2024年10月に発行した招待制カード「ザ・クラス」が注目を集めている。ATMでは利用できず、発行手数料も3万3000円と高額。それでも発行後わずか2カ月で想定を上回る申し込みがあるという。
「ポイントは失効した方が得」ではない ドコモが4000億ポイント消費を祝う理由
「ポイントは失効したほうが発行元の得」という常識は本当なのか。NTTドコモはdポイントの年間消費数が初めて4000億ポイントを突破したことを強調する。失効より「使われる」ことを重視する理由と、その裏にあるポイント事業のビジネスモデルを追った。
音楽のヤマハが「あえて聞こえにくくする」防音声 オフィスや病院で導入進む、逆転の発想
楽器メーカーとして知られるヤマハが手掛けるのは、「音を良くする」のではなく「あえて聞こえにくくする」技術だ。会話漏れを防ぐスピーチプライバシーシステムは、病院や企業で導入が拡大。コロナ後のオフィス環境の変化を追った。



