中国スーパーアプリにAI実装加速、テンセントが微信支付とAIエージェント連携
中国スーパーアプリにAI実装加速、テンセントが微信支付とAI連携

微信支付にAIエージェント「ワークバディ」を統合

中国の大手インターネット企業である騰訊控股(テンセント)は6月17日、SNSを軸とする旗艦アプリ「微信(ウィーチャット)」に付属する決済アプリ「微信支付(ウィーチャットペイ)」に、自社開発のAIエージェント「ワークバディ」を連携させたと発表した。この連携により、ユーザーは商品選定から注文、支払い完了までをAIに任せることが可能となった。

ワークバディは、米国で開発された「オープンクロー」に類似したAIエージェントであり、中国ではオープンクローがそのシンボルマークの形から「ザリガニ(小龍蝦)」の愛称で呼ばれていることから、ワークバディは「テンセント版ザリガニ」とも呼ばれる。テンセントによれば、ワークバディはオープンクローをカスタマイズする際に用いる「スキル(拡張機能)」との互換性を持たせたほか、使いやすさ、モデル選択、安全性などの面で強化されているという。

スーパーアプリへのAI実装が加速する背景

中国では、SNSやQRコード決済、ネット通販、旅行予約、交通手段利用など多様なサービスを一元的に提供する「スーパーアプリ」が日常生活に欠かせない存在となっており、いずれも膨大な利用者数を誇る。微信は、阿里巴巴集団(アリババ)系の決済アプリ「支付宝(アリペイ)」と並ぶ代表的なスーパーアプリであり、AI機能の追加は市場の大きな関心を集めている。

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6月上旬には英メディアが微信へのAI組み込み計画を報じ、これをきっかけにテンセントの株価は急騰した。市場はAI機能の追加に高い期待を寄せており、今回のワークバディ連携はその流れをさらに加速させるものだ。

スマートフォン各社との協力と今後の展開

テンセントは現在、華為技術(ファーウェイ)、小米(シャオミ)、OPPO(オッポ)、vivo(ビボ)などのスマートフォンメーカーと協力し、微信へのAI機能の導入を進めている。すでに音声でメッセージ送信ができるアシスタント機能などが実装されており、今回の微信支付のAI連携もこうした取り組みの延長線上にある。

現時点ではPC版のみがワークバディに対応しているが、テンセントはスマートフォンアプリとAIエージェントとの連携も視野に入れており、将来的にはスマホ向けに音声アシスタント機能を導入する計画だ。これにより、ユーザーはよりシームレスにAIを活用した決済体験を得られるようになる。

アリペイもAI版サービス「阿宝」を発表

テンセントの動きに対抗し、アリババ系のアリペイもAIを活用したサービスを発表している。アリペイはAI版サービス「阿宝」をリリースし、ユーザーの購買行動や好みに基づいたパーソナライズされた推奨や、音声操作による決済などを可能にしている。

両社の競争は、中国のスーパーアプリ市場におけるAI実装の主導権争いを激化させており、ユーザーにとってはより便利で効率的なサービスが提供されることになる。AIエージェントの活用は、単なる決済手段の効率化にとどまらず、ショッピング体験全体の変革をもたらす可能性がある。

AIエージェントの活用と今後の展望

ワークバディのようなAIエージェントは、自律的にタスクを実行できる点が特徴だ。例えば、ユーザーが「今週末のキャンプ用のテントを予算2万円以内で探して購入して」と指示すれば、AIが商品を検索し、価格やレビューを比較し、最適な商品を選んで決済までを自動で行う。これにより、ユーザーは煩雑な手続きから解放され、時間を節約できる。

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テンセントは今後、微信の他の機能ともAIエージェントを連携させ、旅行予約やチケット購入、さらには金融サービスなど、より幅広い分野での活用を目指すとしている。中国のスーパーアプリにAIが本格的に実装されることで、生活のあらゆる場面でAIアシスタントが当たり前になる未来が近づいている。