スマートフォン向けゲームの国内ダウンロード数は年間6億回に上る。パズルやアクション、ロールプレイングなど幅広いジャンルが次々と配信され、ほとんどが無料で遊べる。ゲーム会社はどのように収益を得ているのか。
有料利用者は全体の3割前後
東京都の男性会社員(30)は、サッカーゲーム「eFootball(イーフットボール)」をプレーしながら「ほしかった選手がようやく手に入った」と声を弾ませる。実在する世界のチームや選手が登場するのが特徴で、「ガチャ」と呼ばれる課金で選手を獲得し、自分だけのドリームチームもつくれる。男性は「無料でも楽しいけど、課金で好きな選手を集めれば、もっと楽しい。課金は月2000円までと決めている。1回の飲み会代より安い」と話す。
スマホゲームの収益モデルは「フリーミアム型」が主流だ。フリー(無料)とプレミアム(割増金)を合わせた造語で、一部の有料利用者が大多数の無料利用者を支える。ゲーム業界の年鑑「ファミ通ゲーム白書」の上床光信チーフアナリストによると、有料利用者は全体の3割前後という。
重課金ユーザーが売り上げの大半を支える
対戦型の武器などアイテムを得るための課金額は月平均2000~5000円とされ、月1万円以上は「重課金ユーザー」と呼ばれる。100万円以上もおり、数%の重課金ユーザーが売り上げの大半を払っている。少数の高額利用者が売り上げの大きな部分を占めるのは、国際線のファーストクラスやホテルのスイートルームにも似た構図だ。
収益のカギは、無料利用者を増やして長く滞在してもらい、有料に誘導できるかだ。飽きさせない工夫が必要で、ログインでポイントを付与したり、難易度を徐々に上げて「もう少し続けたい」と動機付けしたり、初めの課金を割安にして「最初の一歩」を後押ししたりする仕掛けもある。
コラボやサブスクで収益を拡大
2025年のアプリ内課金ランキング3位の「モンスターストライク(モンスト)」は13年の登場から根強い人気で、利用者は世界累計6500万人、売上高は1兆4000億円を超える。人気の理由はモンスターを指ではじいて攻撃する簡単な操作に加え、「ワンピース」や「推しの子」など人気漫画やアニメとのコラボ企画で幅広いファンを引きつけてきた点にある。
コラボ企画は一挙両得の戦略だ。アニメファンをゲームに誘い、無料利用者のファンは課金のきっかけになる。グッズ発売やアニメ化などの収益も見込め、モンストを運営するMIXI(ミクシィ)は「ゲームの枠を超え、日常生活でモンストに触れてもらう機会を創出している」とする。
課金以外の収益も広げている。競走馬をモチーフにしたキャラクターがレース制覇を目指す育成ゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」は、アニメ化や漫画化、グッズ販売、ライブイベントなどでIP(知的財産)の利用料を得るビジネスモデルを築いた。サブスクリプション(定額制)も定着し、「ポケモントレーディングカードゲームポケット(ポケポケ)」は世界90か国・地域以上で普及するカードゲームのスマホ版で、月980円で毎日カードが届くどきどき感を味わえる。
利用者がターゲットの「バナー広告」など広告収入が売り上げの9割を占めるゲームもある。上床氏は「ゲームの課金方法は柔軟性が高く、サブスクなど他の業界で先行する手法を取り入れやすい」と話す。



