Gartnerは2026年8月26日(現地時間)、AIシステムそのものを保護するためのセキュリティ製品市場に関する予測を発表した。企業が生成AIやAIエージェントを業務システムに組み込むほど、従来のセキュリティ製品では守り切れない領域が広がっている。
同社によると、この市場は2027年に47億8300万ドルに達する。2026年比で68.7%増だ。2028年には約77億ドルまで拡大すると予測している。背景にあるのは、AIプロジェクトで使われるサードパーティ製ソフトウェアやオープンソースソフトウェアを狙う脆弱性の増加と、サプライチェーン攻撃だ。
成長率が最も高い分野は「AI利用制御」
Gartnerがこの市場を構成するとした4つの分野は、伸び方が一様ではない。支出額が最も大きい分野と、成長率が最も高い分野は一致しない。限られた予算をどこから投じるべきなのか。
成長率が最も高い分野は、組織内のAIの使われ方を制御する「AI利用制御」だ。2027年に73.0%増と予測されている。
Gartnerはこの市場を以下の4つに分類した。
- AIアプリケーションセキュリティ
- AI利用制御
- AIガバナンスプラットフォーム
- AIゲートウェイ
いずれも、組織がAIを安全に、責任を持って、規制に沿って利用するためのソフトウェアやプラットフォームだ。2027年の支出額で最大となるのはAIアプリケーションセキュリティで、成長率ではAI利用制御が首位に立ち、AIゲートウェイが続く。分野別の支出額と成長率は次の通りだ。
4分野以外の「その他」が市場の約半分を占める
表の通り、4分野に含まれない「その他」が市場全体のおおよそ半分を占める。分類済みの4分野だけで市場規模を語ると、実態を過小に見積もることになる。
Gartnerのシャイレンドラ・ウパディヤイ氏(シニアプリンシパルアナリスト)は、従来型の製品との違いをこう説明する。
「従来のセキュリティ製品は、AIアプリケーションを他のソフトウェアと同じように扱うことが多く、AI固有の脅威に対処するには大幅な更新が必要だ。AI利用制御やアプリケーションセキュリティといった専門的なソリューションは、こうした課題に応えるものとして急速に成長する」(ウパディヤイ氏)
攻撃の入り口についても予測を示している。Gartnerは、2029年までにAIエージェントへのサイバー攻撃のうち成功したものの半数超が、アクセス制御の不備とプロンプトインジェクションを突くとみる。プロンプトインジェクションとは、AIへの指示文に不正な命令を紛れ込ませ、開発者や利用者が意図しない動作を引き起こす攻撃手法だ。同社は、既存のセキュリティ基盤にAIモデルを識別、監視、保護する専用ツールを組み合わせる必要があるとしている。
大手かスタートアップか、競争構図は分野で異なる
Gartnerによると、競争の構図は分野によって異なるという。AIガバナンスプラットフォームとAIゲートウェイは、ガバナンスやデータ、API管理の既存の企業向け製品を土台にする場合が多い。このため大手ベンダーがAI機能を追加したり、専門製品を組み込んだりして優位を保つとみる。
一方、AIアプリケーションセキュリティとAI利用制御では、スタートアップの参入が相次いでいる。
「市場の成長に伴い、統合や買収が増えると予想される。大手のサイバーセキュリティ企業が製品群を広げるために、これらのスタートアップを買収する動きだ。全体として、この領域の速い成長がベンダー間の激しい競争を生んでいる」(ウパディヤイ氏)



