トヨタ自動車と日本電信電話(NTT)は、人工知能(AI)を活用した次世代車載システムの共同開発で基本合意した。両社は2028年までの実用化を目指し、交通事故の削減や自動運転技術の高度化に貢献する新たなプラットフォームの構築を進める。
AIで交通社会を変革
今回の提携では、トヨタの車両制御技術とNTTのAI・通信技術を融合。車両同士や道路インフラとの通信を高度化し、リアルタイムな危険予測や運転支援を可能にする。具体的には、NTTが開発中の大規模言語モデル(LLM)を車載システムに搭載し、走行データや交通情報を解析。ドライバーへの警告や自動ブレーキの作動を最適化する。
両社は2023年から協業を開始しており、今回の合意はその本格化と位置づけられる。トヨタの佐藤恒治社長は「AI技術の進化が自動車産業に革命をもたらす中、NTTとの協業で安全で快適なモビリティ社会を実現したい」とコメント。NTTの島田明社長も「通信とAIの知見を活かし、交通事故ゼロを目指す」と述べている。
2028年までのロードマップ
開発の第1段階として、2025年までにプロトタイプシステムを完成させる。その後、2026年から実証実験を開始し、2028年には量産車への搭載を目指す。対象車種はまずトヨタの高級車ブランド「レクサス」から導入し、順次拡大する計画だ。
このシステムは、5G通信を活用し、クラウド上のAIと車載AIが連携。地図情報や気象データも統合し、より精度の高い運転支援を提供する。NTTは2025年度までにAI関連投資に1兆円を投じる方針を示しており、今回の提携はその一環となる。
交通事故削減への期待
警察庁の統計によると、2023年の日本国内の交通事故死者数は2678人と、前年から微減したものの、依然として高い水準にある。トヨタとNTTは、AIシステムの導入により、2030年までに交通事故死者数を半減させる目標を掲げる。
専門家からは、技術的な課題も指摘される。自動運転の国際的な規格や法整備が遅れており、実用化には時間がかかる可能性がある。しかし、両社は「日本発の技術で世界の交通安全に貢献する」と意気込む。
自動運転市場の競争激化
自動運転技術を巡っては、テスラやグーグル系のウェイモなど海外企業が先行。日本勢もホンダや日産自動車が開発を進める中、トヨタとNTTの提携は、国産技術の競争力強化につながるか注目される。
トヨタは2025年までに自動運転レベル4(特定条件下での完全自動運転)の実用化を目指しており、今回のAIシステムはその基盤技術となる見通しだ。NTTとの連携により、ソフトウェアとハードウェアの両面から差別化を図る。
両社は今後、具体的な開発スケジュールや投資額を明らかにする方針。自動車と通信の巨人が手を組んだことで、モビリティ産業の新たな地殻変動が始まる。



