政府は2026年7月16日、人工知能(AI)の開発・利用を規制する新たな法案を今国会に提出する方針を固めた。関係者によると、この法案はAIのリスクレベルに応じて段階的に規制を課すもので、特に「ハイリスク」と分類されるAIシステムを提供する事業者に対しては、厳格な事前評価や透明性確保の義務を課すことが柱となる。
法案の概要と背景
法案では、AIシステムをリスクの高低に応じて3段階に分類。最もリスクが高いと判断されたAIには、開発段階での影響評価や、第三者機関による認証の取得が義務付けられる。さらに、利用者への説明責任や、事故発生時の報告義務も盛り込まれる。一方、リスクが低いAIについては、自主的なガイドラインの遵守を促すにとどめる。
政府は、EUが2024年に施行したAI規制法(AI Act)を参考に、国際的なルールとの調和を重視。EU規制法では、リスクベースのアプローチを採用し、違反した企業には最大で全世界売上高の7%に相当する制裁金が科される。日本版の法案でも、罰則の導入が検討されている。
国際的な動きと日本の立場
AI規制をめぐっては、米国や中国など主要国でも独自のルール作りが進んでいる。米国は2023年10月に大統領令を発令し、AIの安全性と信頼性に関する基準を策定。中国は2023年8月から生成AIに関する暫定管理弁法を施行し、コンテンツの規制を強化している。こうした中、日本は「広島AIプロセス」を主導し、国際的な枠組みづくりを推進してきた。
経済産業省の担当者は「日本はAIの活用と規制のバランスを重視している。今回の法案は、イノベーションを阻害せず、かつ安全性を確保するためのものだ」と説明。また、国際的な相互運用性を確保するため、G7やOECDなどとの連携を強化する方針を示した。
産業界の反応と今後の課題
一方、産業界からは懸念の声も上がる。日本経済団体連合会(経団連)は「過度な規制はAI分野での国際競争力を損なう恐れがある」と指摘。特に、スタートアップ企業への影響を懸念し、規制の適用範囲を明確にするよう求めている。あるAIベンチャーのCEOは「規制が厳しすぎると、開発コストが増大し、海外市場への参入が難しくなる」と語る。
政府は、法案の成立後も、技術の進展に応じて規制を見直す仕組みを設ける方針。また、AIによる雇用への影響や、プライバシー保護の課題についても、別途検討を進める。専門家からは「AI規制は一度作って終わりではなく、常にアップデートが必要だ」との指摘がある。



