死亡犠牲者のAI動画が法廷で再生され量刑に影響、控訴裁が審理やり直し命じる
死亡犠牲者のAI動画が量刑に影響、控訴裁が再審理命じる

米西部アリゾナ州の刑事事件で、人工知能(AI)が生成した死亡犠牲者の動画が法廷で再生され、全米の注目を集めている。州控訴裁判所は9月末、AI動画が被告の量刑に影響を与えたのは不当だとして、量刑審理のやり直しを命じた。

事件の概要とAI動画の再生

事件は2021年11月13日に発生。アリゾナ州チャンドラーの交差点で信号待ちをしていたクリストファー・ペルキーさん=当時(37)=のトラックの後続車両がクラクションを鳴らし、ペルキーさんがトラックを降りて車に近づいたところ、銃で撃たれて死亡した。発砲したガブリエル・ホルカシタス被告は故殺罪(計画性のない殺人罪)などで訴追され、マリコパ郡上級裁判所は有罪判決を言い渡した。

AI動画が再生されたのは、有罪判決後に量刑を決める審理で、ペルキーさんの遺族や友人が証言した後だった。ペルキーさんの姉、ステイシー・ウェールズさんが法廷で再生した動画には、AIで生成されたペルキーさんが登場し、被告に「あんな出会い方をして残念だったよ。別の人生だったら友達になれたかもしれなかった」と語りかけた。

判事の反応と控訴裁の判断

ウェールズさんはAI企業で働く夫とその同僚の力を借りて動画を作成。米メディアに「弟の人間性を理解してもらいたかった」と語った。裁判記録によると、AI動画を見た上級裁のトッド・ラング判事は「このAIを気に入った」とし、そこで語られたことは「本物(genuine)だと思う」と語った。

死亡した本人が「許し」を重んじているので量刑は軽くなるかと思いきや、事態は逆の展開となった。州控訴裁判所は9月末、AI動画が被告の量刑に影響を与えたのは不当だとして、量刑審理のやり直しを命じた。

遺族の反応

法廷で動画を再生した遺族は「嘘をついたり、騙したりしていない」とし、控訴裁の判断に同意できないと語っている。