トヨタ自動車と日本電信電話(NTT)は、自動運転技術の実現に向けて、次世代通信規格「IOWN(アイオン)」の開発で協業することを発表した。IOWNは、光電融合技術を活用し、現在の通信速度を大幅に上回る高速・大容量・低遅延の通信を可能にする。両社は、2025年以降の実用化を目指し、自動運転車の制御や路車間通信などに活用する方針だ。
協業の背景と目的
自動運転技術の高度化には、車両とインフラ間のリアルタイムなデータ通信が不可欠だ。現在の4Gや5Gでは、遅延や帯域幅の制約が課題となっている。IOWNは、光の波長を利用した通信技術により、理論上、現在の100倍以上の速度と、1万分の1以下の遅延を実現する。トヨタは、この技術を自動運転の制御システムに組み込むことで、より安全で効率的な走行を可能にするとしている。
NTTは、2024年までにIOWNの基本技術を確立し、2025年から段階的にサービスを開始する計画だ。トヨタとの協業では、自動運転に特化した通信プロトコルの開発や、実証実験を共同で行う。具体的には、高速道路での自動運転実証や、交差点での歩行者検知システムなどが想定されている。
技術的詳細と期待される効果
IOWNは、光電融合技術に加えて、エッジコンピューティングやAIを組み合わせた分散処理基盤も含む。これにより、車両内のセンサー情報をクラウドに送信せずとも、近隣のエッジサーバーで即時処理できる。遅延は1ミリ秒未満に抑えられ、緊急ブレーキや障害物回避などの判断を瞬時に行える。
トヨタの「コネクティッド・カンパニー」担当役員は、「IOWNは自動運転の実現に不可欠な基盤技術だ。NTTとの協業で、2025年以降の量産車への搭載を目指す」と述べている。また、NTTの研究開発責任者も、「自動運転はIOWNの最も重要なユースケースの一つ。両社の技術を融合し、世界最高水準の通信環境を提供する」とコメントした。
業界への影響と今後の展開
自動運転分野では、米国のグーグル系Waymoや中国の百度などが先行しているが、日本勢は通信技術で差別化を図る。IOWNは、トヨタだけでなく、他社への開放も検討されており、日本発の国際標準化を目指す。NTTは、IOWNの技術仕様を2023年中に公開し、国内外の企業や研究機関との連携を進める方針だ。
協業の第一弾として、2024年から愛知県内のテストコースで実証実験を開始する。両社は、2027年までにIOWN対応の自動運転車を公開し、2030年には完全自動運転(レベル4以上)の実現を目指す。トヨタは、IOWNを搭載した車両の販売台数を、2030年までに年間100万台とする目標を掲げている。



