NECは、第5世代移動通信システム(5G)の基地局における消費電力を、人工知能(AI)技術を用いて最大30%削減する新たな制御技術を開発したと発表した。この技術は、基地局内の複数の無線ユニットをAIがリアルタイムで制御し、トラフィックの変動に応じて不要なユニットをスリープ状態にすることで、電力消費を抑える仕組みだ。
AIがトラフィックを予測しユニットを最適制御
5G基地局は、従来の4G基地局に比べて高速通信を実現する一方で、消費電力が大きいことが課題となっている。NECが開発した技術では、基地局に搭載されたAIが過去のトラフィックパターンや時間帯、曜日などのデータを学習し、将来のトラフィックを高精度に予測する。その予測に基づいて、各無線ユニットのオン・オフを動的に切り替えることで、必要な通信容量を確保しつつ、消費電力を最適化する。
従来の省電力技術では、トラフィックが少ない時間帯に基地局全体をスリープ状態にする方法が一般的だったが、通信需要の急激な増加に対応できない問題があった。NECの新技術は、ユニット単位での細かな制御が可能なため、通信品質を維持しながら効率的に電力を削減できるという。
2025年度の実用化目指す
NECは、この技術を2025年度までに実用化する計画だ。同社は「5G基地局の消費電力削減は、通信事業者の運用コスト低減だけでなく、カーボンニュートラルの実現にも貢献する」とコメントしている。また、この技術は既存の5G基地局にもソフトウェアアップデートで適用可能なため、導入のハードルが低いとしている。
5Gの普及に伴い、基地局の数は今後さらに増加すると見込まれており、消費電力の削減は業界全体の重要な課題となっている。NECの新技術は、通信品質と省電力を両立するソリューションとして、国内外の通信事業者から注目を集めそうだ。



