第5世代移動通信システム(5G)の必須特許において、日本企業が依然として世界をリードしていることが、最新の調査で明らかになった。しかし、中国企業の特許出願数が急増しており、今後の勢力図が大きく変わる可能性がある。
日本勢の強みと中国の追い上げ
特許分析会社の調査によると、2023年末時点で5G必須特許の保有件数は、韓国サムスン電子が約8000件で首位、続いて中国の華為技術(ファーウェイ)が約7000件、フィンランドのノキアが約6000件となっている。日本企業では、NTTドコモが約4000件で4位、ソニーが約3000件で8位、シャープが約2000件で10位にランクイン。日本勢全体では約1万5000件と、世界全体の約20%を占める。
特にNTTドコモは、5Gの基盤技術である「大規模MIMO」や「ビームフォーミング」などの特許で強みを持つ。同社の知的財産部長は「日本の技術力は世界トップレベル。今後も研究開発を強化し、標準化をリードしていく」と語る。
中国勢の急成長と特許戦略
一方、中国勢の特許出願数は近年急増している。ファーウェイに加え、ZTEやOPPOなどの中国企業が積極的に特許を取得。2020年からの3年間で、中国企業の5G必須特許出願数は約2.5倍に増加した。特許専門家は「中国政府の後押しもあり、中国企業は特許ポートフォリオを急速に拡大している。特に標準必須特許では、自社の技術を標準化に組み込む戦略が奏功している」と指摘する。
しかし、特許の質にはばらつきがあるとされる。特許の「質」を示す被引用数や特許ファミリーの規模では、日本企業が依然として高い評価を得ている。
今後の展望と課題
5Gの次世代規格「6G」の標準化が2024年から本格化する中、特許を巡る国際競争はさらに激しさを増す。日本政府も「Beyond 5G」の研究開発に約500億円を投じるなど、官民一体で技術開発を推進する。
一方で、特許使用料を巡る訴訟リスクも高まっている。実際に、複数の特許権者がスマートフォンメーカーを提訴する事例が相次いでいる。日本企業も特許戦略の強化が急務だ。
専門家は「日本企業は技術力はあるが、特許の権利化やライセンス交渉の面で欧米企業に後れを取っている。特許を収益に結びつけるビジネスモデルの構築が重要」と指摘する。



