愛知県岡崎市の康生地区は、かつて「西三河一の繁華街」と呼ばれた。しかし現在、この地区の百貨店は全滅し、昼間でも人通りがまばらな閑散とした光景が広がっている。1958年に開業した「岡ビル百貨店」は2021年に閉店し、現在は取り壊されている。この地区の商店数は最盛期から約半数以下に減少したという。
危機感から生まれた「まちゼミ」
こうした状況に危機感を抱いた地元商店主の松井洋一郎さんは、2003年に「まちゼミ」を始めた。これは商店主自身が講師となって少人数の講座を開く取り組みで、大型店ではなく個店の魅力で客とのつながりを取り戻そうという狙いがある。
松井さんは「成果が出ている店もあります。でも、全体を巻き返すところまでは、まだ来ていません」と話す。努力の結果、一定の成果はあったものの、商店街全体の回復には至っていないのが現状だ。
大型店との競争を経て、個人店の挑戦
戦前には「岡崎市本町電停前 実用百貨タカハシ」という百貨店も存在したが、現在は開業・閉業の詳細を知る術がない。また、1953年の「岡崎専門店チケット祭り」のチラシには、専門店が連携して客を囲い込もうとした時代の姿が残っている。こうした歴史を経て、現在は個人店が街の魅力をつくる挑戦が続いている。
一方で、街のにぎわいは近年回復傾向にある。松井さんは「にぎわいはこの5年くらいで取り戻してきました」と語る。川沿いの再整備や2023年放送の大河ドラマ『どうする家康』、人気YouTuber・東海オンエアの効果などが重なり、休日の人通りは大きく増えたという。
にぎわいと売上の乖離
しかし、松井さんは「そのにぎわいが、商店の売り上げに結びついているかというと、そこは微妙なんです」と続ける。にぎわいの回復が必ずしも商店の収益向上につながっておらず、課題は残ったままだ。
康生地区の百貨店は全滅したが、個人店による街の再生への取り組みは続いている。半世紀を経て、百貨店機能は消え去ったが、新たな商店街の形を模索する動きが進んでいる。



