米紙のポッドキャスト番組で、MLBの著名な入団交渉代理人を務める弁護士スコット・ボラス氏が、アジアにMLBの新球団を創設する構想を表明した。日本に4球団、韓国2球団、台湾に1球団を設置するという内容で、日本のセ・パ両リーグ12球団を壊滅させる可能性もある大胆な私案として波紋を広げている。
ボラス氏のアジア構想と専門家の見解
ボラス氏は「ドジャースはアジアを取り込むことに成功した。いずれアジアには大リーグ(MLB)の新球団ができるはず。日本に4球団、韓国2球団、台湾に1球団だ」と力説した。司会の米紙記者はこの構想を絶賛する風だったが、現実には疑問も多い。
桜美林大教授の小林至さん(58)は「もちろんMLBの正式な検討事項ではありません。あくまでボラス氏の私案。でも米野球界のアジア観が変わったと実感させられます」と話す。小林さんは東京大野球部から千葉ロッテマリーンズに入団した元プロ選手で、日米の球団経営に詳しい。
アジア市場の有望さを裏付けるWBC配信
小林さんによれば、MLB幹部の野球ビジネス観は長らく米国内だけで完結していた。だが日本や韓国で開いた開幕シリーズが成功し、大谷翔平選手らの活躍が日本企業を引きつけたことで、極東アジア市場の有望さを知ったという。
その象徴が、今春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を日本で米ネットフリックスが独占配信したことだ。地上波放送で楽しめなかったことに憤慨する声もあるが、小林さんは「WBC側は桁違いの放映権料を得て、日本市場の収益性を確信したはずです」と話す。
スポーツ支配への反発と歴史的視点
一方、九州大准教授の小木曽航平さん(43)は「自国より政治経済の面で上位の国からスポーツまで支配されそうな状況になると、人々は反発を覚える。ごく自然な反応です」と指摘する。小木曽さんは18世紀以降、英米スポーツが5大陸へ広まり、その覇権の下で土着のスポーツが衰退・変容する過程を研究してきた。その典型がクリケットだ。