鳥取県内でクマの出没件数が今年度(9月末時点)に過去5年で最多となり、県は対策を強化する。冬眠に備えてクマが活発に動く時期を迎えたためで、貸し出し用の電気柵の追加購入や、放置された果樹の伐採費用の補助拡大を盛り込んだ関連予算500万円を、開会中の県議会9月定例会に提案している。
出没件数は昨年同時期の2倍以上
今年4~9月末までの県内のクマ出没件数は141件(速報値)で、昨年同時期の58件の倍以上に達した。2021~23年度の同時期は80件前後で推移しており、24年度はエサとなるコナラの実が大凶作で125件と多かったが、25年度は山にエサが豊富だったため減少していた。
県鳥獣対策課によると、出没件数が増えた要因として、昨年全国的にクマ被害が相次いだことで県民の関心が高まり報告が増えたことや、山のエサ不足が挙げられる。7、8月には鳥取市福部町や佐治町内の梨園で、梨がクマに食べられる被害も発生した。
山のエサ不足で今後も増加の可能性
8~9月に県が実施した「堅果類豊凶調査」では、今年はブナが大豊作だが、ミズナラとクリが凶作、コナラも「並作下」と見込まれる。クマは8月末頃から冬眠に備えてエサを求めて活発に動き始め、山のエサが減ると人里に近づく傾向がある。不作が見込まれるミズナラとコナラの出来次第では、10月中旬以降に出没が増える可能性があるため、県はこのタイミングで対策を打ち出した。
補正予算では、集落や農家などに貸し出す電気柵を現在の7セットから14セットに増やす。また、クマを引き寄せる原因となる柿などの放置果樹を市町村が伐採する際の費用補助も拡大し、当初の91本分から216本分に増やす。
「出会わない、引き寄せない」が鉄則
県鳥獣対策課クマ対策室の西信介室長は「出会わない、引き寄せないが鉄則」と述べ、各家庭での対策の必要性を指摘。果樹だけでなく、生ごみやペットフードを屋外に置いておくとクマを誘引する恐れがあるとして、注意を呼びかけている。