2020年シーズンから6年間、東京ヤクルトスワローズの監督を務めた髙津臣吾氏は、著書『愛と哀しみのスワローズ』(KADOKAWA)で、最下位だったチームの監督に就任する自身を、野村克也氏が「いつもの『ノムさん節』で迎えてくれた」と振り返っている。
新米監督として意識していたこと
2019年シーズン終了後、髙津氏が最初に取り組んだのは「2020年をどう戦い抜くか?」という設計図を描くことだった。野村克也監督は、スワローズ監督就任時に「1年目に種を蒔き、2年目に水をやり、3年目に花を咲かす」という「3カ年計画」を口にしていた。
長期的なビジョンも大切だが、当時の髙津氏の頭にあったのは「今年をどう変えるか?」という一点のみだった。2019年のチーム状態は、防御率も打率も守備率もリーグワーストと「あまりにも酷すぎた」という。少々のリフォームでは太刀打ちできないと判断し、すべてを更地に戻し、土台から作り直すことを決意した。
まずはチームの「組閣」から始めた
チームを作り直す上で、髙津氏が最初に取り組んだのは「組閣」だった。ヘッドコーチには宮出隆自氏を依頼。入団当初からよく知る仲で、「厳しさの質」が良く、選手に厳しく当たる際も相手の気持ちを汲み、切り替えて次に進める人物だと評価している。
「選手に嫌われない厳しさ」を持つ宮出氏を組織の要に据える一方、選手に寄り添う役割として、石井弘寿氏や大ベテランの杉村繁氏が技術指導や選手の悩みを聞き出す役割を担う。河田雄祐氏や森岡良介氏は人情味がありつつ、要所で適切な言葉を投げかけられるとして、コーチ陣に「厳しさと共感」の役割を期待し、チームの空気を一新する布陣を整えた。
※本稿は、髙津臣吾『愛と哀しみのスワローズ』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。



