智弁和歌山の主将・松本虎太郎(3年)が、5月の腰の故障と6月末の手術を乗り越え、決勝の八回に代打で「魂のバント」を決めた。「苦しいこともあったけど、今まで応援してくれたみんなに感謝したい。信じてきたことをやり続けてきてよかった」と、深紅の優勝旗の重みを感じながらグラウンドを歩いた。
主将辞任の申し出と手術
松本は1年の夏から甲子園に出場する中心選手だったが、この一年は順風ではなかった。昨年秋の県大会は敗退し、「日本一コミュニケーションがとれるチーム」を掲げたものの、選手同士で衝突することもあった。3月には自身のプレーの不振を理由に、中谷仁監督へ主将を降りたいと申し出た。
試練は続き、5月に腰を故障し、6月末に手術を受けた。甲子園出場だけを考えてリハビリに励み、約3週間後の夏の県大会準決勝で代打として復活した。
決勝で決めた「魂のバント」
今大会では準決勝まで「思うような活躍はできなかった」という。この日の決勝では、追いかける展開で迎えた八回無死一、二塁の場面で代打に立ち、初球で犠打を決めて逆転に向けチームを勢いづけた。中谷監督が「魂のバント」と言わしめた一打に、松本は「自分ができる最大限の仕事ができた」と振り返った。
少年野球時代の仲間と指導者の思い
スタンドには、準決勝で健大高崎に敗れた天理(奈良)の大塚弘登(3年)の姿があった。同じ小中学校に通い、少年野球チームでバッテリーを組んだ大塚とは「甲子園で会おう」と約束を交わしていたが、決勝での対戦は実現しなかった。少年野球チームの指導者、林田健一さん(48)は「互いに切磋琢磨できた」と2人に感謝しつつ、「まずは体を万全にして次の目標に進んでもらいたい」と松本をねぎらった。



