愛知・名古屋アジアパラ大会の開幕を2カ月後に控えた8月、陸上男子200メートル金メダリストの井谷俊介選手(31)=三重県大紀町出身=が、愛知県小牧市の松本義肢製作所を訪れた。義肢装具士の橋場義浩さん(58)に、大会で使う新たな義足の調整を依頼するためだ。
3時間以上に及ぶ調整作業
競技用の義足は、足を入れる樹脂製のソケットとブレード(板ばね)で構成される。橋場さんは井谷選手の要望に応じて部品の取り換え作業を続け、そのたびに井谷選手は走ったり、跳びはねたりして感覚を確かめた。やり取りは3時間以上に及んだ。
「フィット感はいいけど」「角度が」……。井谷選手の言葉に、橋場さんが細かく対応していく。ハイテク化が進む車いす競技とは対照的に、義足の調整は職人と選手の対話によるアナログな作業が中心だ。
前回大会の金メダリスト
井谷選手は前回2023年のアジアパラ中国・杭州大会で金メダルを獲得している。大学生だった20歳の時に競技を始めたとされる。
アジアパラ大会に向けた準備は、こうした地道な調整作業の積み重ねで進められている。