南北海道大会決勝(21日・札幌円山球場)で、札幌日大が駒大苫小牧を破り、優勝を果たした。勝敗を分けたのは八回裏の攻防だった。
「逆転の駒苫」、粘るも及ばず
かつて「逆転の駒苫」と呼ばれた駒大苫小牧は、ビハインドの展開から懸命に戦った。中でも、3番川口奨真選手(3年)は3安打2打点と気を吐いた。
4点を先制された直後の三回二死一、二塁で打席へ。北海戦で勝ち越しソロを放つなど、準決勝までに計6安打7打点と好調な左打者は簡単に追い込まれても落ち着いていた。「まずは1点」。続く外角の直球をコースに逆らわず鋭く振り、打球は三遊間を抜けた。二塁走者が生還し、重苦しかったベンチが沸き立つと、ほっとした表情を見せた。
五回に二塁への適時内野安打、八回に遊撃への内野安打を放ち、2点を追う九回一死一塁でふたたび出番が回ってきた。「(追いつける)チャンスがある。塁に出てつなぐ」と臨んだが、今度は直球にバットが空を切って三振。これが高校生活最後の打席となった。
チームが2004年に道勢初の大会制覇、05年に連覇を飾った大舞台に手が届かなかった。それでも、躍進するチームを後押ししようと大勢のOBらにも応援してもらい、「様々な人に支えられていると実感した」。「駒苫復活」への機運を高めて、後輩にバトンを託した。(中原正隆)
勝敗分けた「外の変化球」 優勝引き寄せた好リリーフ
札幌日大の前田泰佑(2年)は、3点リードの八回裏無死満塁のピンチでマウンドを任された。2人をフライに打ち取るも、片方は犠飛となり1失点。直後に死球を出し、二死でまたも満塁の走者を背負った。
この状況は、14日の準々決勝と似ていた。中盤に連続で安打を浴び、犠飛で1失点してなお走者がいた。あの日は、直後の打者を内野ゴロに打ち取ってピンチを切り抜けた。前田に、焦りはなかった。
味方のタイムで伝令から、「お前の球を投げろ」という監督・森本琢朗の言葉を伝えられ、「この試合を終わらせる」と打席に向き直った。
対する駒大苫小牧の左打席に立ったのは、渡辺羚生(3年)。序盤から劣勢が続いていた中で、終盤で訪れた好機。「打たなければ負ける。自分が決める」と覚悟した。直前に前田が内角に投げて死球としたのを見て、「外と変化球を狙う」と決めていた。
前田は3球で2ストライクまで追い詰めると、最後はこの日初めてのスライダーを投げた。「外側の変化球」がさらに外側に大きく曲がり、渡辺のバットは空を切り三振を奪った。
この場面で、駒大苫小牧の攻撃が止まらなければ、試合はどう転んでいただろうか。札幌日大の森本は試合を振り返って言った。「甲子園の雰囲気は全然違う。土壇場で踏ん張る。いい経験ができた」(永田新、中原正隆、敬称略)



