第39期竜王戦挑戦者決定三番勝負は、柵木幹太五段と服部慎一郎七段が1勝1敗で迎えた第3局を前に、藤井聡太竜王への挑戦権まであと1勝と迫っている。柵木五段はフリークラスを卒業し棋士寿命の呪縛から解放されたことで「心が軽くなった」と語り、本戦でトップ棋士を次々と破る躍進の夏を送っている。
名古屋大学出身の頭脳派、棋士編入試験で西山女流四冠を撃退
柵木五段は愛知県西尾市出身で、増田裕司七段門下。名古屋大学工学部卒で「名大将棋部」にも在籍していた。今も愛知に住み、藤井竜王も少年時代に在籍した東海研修会の幹事として後進の育成に努めている。
2023年4月にプロ入りした当初はフリークラス棋士で、23、24年度の勝率は5割台と伸び悩んだ。「勝ちたいという思いが強すぎて、逆に手が伸びなかった」と本人は振り返る。関西奨励会の幹事だった北浜健介八段は「棋士になった後、奨励会三段時代より棋力が落ちて見える時期があって心配でした」と述懐した。
転機となったのは、2025年1月の棋士編入試験第5局。女性初の棋士にあと1勝と迫っていた西山朋佳女流四冠の試験官を務め、正確な読みで勝利した。西山女流四冠は「柵木さんが序盤、中盤、終盤と強いのは嫌というほど知っていた」と語った。
フリークラス卒業で「心が軽く」、竜王戦5組から本戦へ
2025年4月、規定の成績を収めてフリークラスからの昇段を決めた柵木五段は、「10年という期間で結果を出さなければ引退という恐怖に手足を縛られていました。それがなくなって、心が軽くなりました」と振り返る。
25年度の勝率は7割を超え、第39期竜王戦では5組を勝ち上がり、決勝で上野裕寿六段を破って初のクラス優勝。本戦では西田拓也六段、長谷部浩平六段を破り、前期挑戦者の佐々木勇気八段にも快勝した。高見泰地七段は「普通に強い」と称賛した。
挑決は1勝1敗、運命の第3局は24日
挑決三番勝負第1局は柵木五段が先勝し、第2局は千日手指し直しの末に服部七段が勝利。藤井竜王への挑戦まで、ともにあと1勝としている。柵木五段は服部七段と練習将棋を指す仲で、「胸熱」と表現した。
運命の第3局は24日に東京・将棋会館で行われる。柵木五段は「落ち着いて対局に臨むことができれば」と自然体で臨む構えだ。



