タイやシンガポールで奮闘、海外で活躍する日本人コーチ 体操ニッポンの名声広める
海外で活躍する日本人コーチ、体操ニッポンの名声広める

愛知・名古屋アジア大会には45カ国・地域から1万5000人を超える選手団が参加する。今大会の中には、海外チームで指導者を務める日本人もいる。タイ体操男子代表ヘッドコーチの中谷至希さん(29)はその1人だ。異文化に飛び込んで2年。「タイの体操選手を初めて五輪に出す」と新たな歴史を作るべく奮闘している。

行動力で切り開いた道

中谷さんは2020年、鹿屋体大から徳洲会に加入した。目立った競技実績がない中、「五輪の金メダル」を目標に、自らの価値を売り込んでの入団は異例のことだった。しかし、選手生活はわずか2シーズンで終了する。契約更新の条件とされた成績を残せなかったからだ。

引退後、徳洲会の子供体操教室で指導者としてのキャリアをスタート。2年がたつ頃、関係者を通じて「タイがヘッドコーチを探している」との話が舞い込み、体操教室の契約満了後の24年10月から同国代表のトップに就いた。海外での活動は、かねて夢見ていたことだった。

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タイでの挑戦と苦労

タイは日本のような体操強豪国ではない。男子選手はジュニアを合わせても30人いない。そのうちシニアの選手は5人である。「外国は自己主張が強いイメージがあると思うけど、タイは上の人が言ったことを聞く。やり切る力が高い」と語る。

練習の指導は主に英語で行い、英語が分かる選手にタイ語を教わることも。協会から海外遠征費が出なかったり、不在のトレーナーの役割も兼務したりと苦労は絶えないが、中谷さんは「来てよかった。これを(人生の選択の)正解にしないと。成長させてもらっています」と前向きだ。

シンガポールで12年の指導

シンガポールでジュニア男子強化選手のコーチを務めているのは久住亮介さん(37)。仙台大から順大大学院に進み、卒業間際にシンガポールのコーチの職を紹介された。今回のアジア大会には同行しないものの、14年4月から始まった同国での指導は12年を超えた。23年には現地の女性と結婚した。

国土が狭く資源に乏しいシンガポールは人材育成に力を入れている。「学校教育がすごく厳しい。体操をやっている子は多いけど、勉強時間を削ってまで(本格的な)競技に移る子は少ない。徴兵にも行かないといけない」。学校のために練習に遅れたり、来られなかったりする選手が多かったことから、久住さんは食事を共にするなど、対話を重ね、時間をかけて選手たちの意識を高めてきた。

「国によって違う苦労があると思うけど、やりがいはある。日本の若い子は思い切って飛び込んでみたらいいんじゃないかと思いますね」

海の向こうの指導者たちは、日本代表選手とは、また違った形で「体操ニッポン」の名声を広めている。

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