愛知・名古屋アジア大会(読売新聞社協賛)のカバディ日本代表は、男女各12人のうち主将ら4人が埼玉県飯能市の自由の森学園中学・高校カバディ部の出身だ。国内の中高でカバディ部は珍しい。「遊びの延長」でできた部で日の丸を背負う選手が育ち、国際大会で奮闘している。
「遊びの延長」から生まれた部活
「カバディ、カバディ……」。小さく声を発しながら敵陣に進入すると、相手の激しいタックルをかいくぐり、果敢にタッチを狙った。23日、日本男子は台湾に惜敗した。5か国・地域による1次リーグA組で戦い、上位2チームが準決勝に進む。バングラデシュとの接戦は制したが、強豪インドには敗れ、1勝2敗と厳しい状況にある。
主将の阿部哲朗選手(28)、主力の真仁田悦輝選手(30)が同校のカバディ部OBだ。部ができたのは2011年。生徒がテレビ番組で鬼ごっことドッジボール、格闘技を掛け合わせたような競技を知り、遊び感覚で友人と発足させた。テレビの情報を頼りに、体育館の床にテープを貼ってコートに仕立てて練習した。次第に熱が入り、日本カバディ協会に連絡を取って事務局長の河合陽児さん(51)の指導を受けた。
中高から競技を始めた貴重な戦力
「ルールはよく分からないけど、楽しそう」。中学で卓球部だった真仁田選手は12年に入部した。軽音楽部だった阿部選手も翌年加わった。対戦相手は大学生や社会人ばかりで、なかなか勝てなかったが、日本代表の選手とも試合を重ねて力をつけた。2人は在学中に協会の強化指定選手にも選ばれた。
阿部選手は「相手の動きが予測しにくく、感覚勝負でもある。一瞬の判断ミスが命取りになる」と語る。
阿部選手は学童クラブ職員、真仁田選手は歯科技工士の専門学校生をしながら競技を続け、母校で後輩の指導も担う。大学で競技を始めるケースが多く、中高から経験のある選手は貴重な戦力だ。真仁田選手は「遊びの延長で始めた競技で、世界と戦えるところまでいけるとは思わなかった」と話す。
後輩たちへのエールと今後の戦い
男子カバディ部部長で高校2年の山木哉さん(17)は「先輩たちが世界の強豪相手に思い切り戦う姿を目に焼き付けたい」とエールを送る。
協会登録の選手は約350人(25年度時点)。近年は漫画「灼熱カバディ」(小学館)を読んで競技を始める若手も多い。日本男子の最高成績は10年中国・広州大会の銅メダル。準決勝進出を懸け、阿部選手は「24日の韓国戦で全てを出し切りたい」と意気込む。
カバディは古代インドが発祥とされる。1チーム7人で対戦。攻撃手1人が「カバディ、カバディ」と連呼しながら敵陣に入り、相手選手に触れて自陣に戻ると得点が入る。守備側は攻撃手を捕まえるなどすれば得点となる。



