愛知・名古屋アジア大会(読売新聞社協賛)は1日、レスリングで女子62キロ級の尾崎野乃香と男子グレコローマンスタイル97キロ級の仲里優力(松尾建設)が金メダルを獲得した。柔道では女子63キロ級の谷岡成美(日本エースサポート)、70キロ級の前田凛(環太平洋大)、男子81キロ級の藤原崇太郎(旭化成)が頂点に立った。
尾崎が女子62キロ級を制し、仲里も金
尾崎が女子62キロ級を制し、男子グレコローマンスタイル97キロ級の仲里も金メダルを獲得した。同77キロ級ではパリ五輪金メダリストの日下尚(マルハン北日本カンパニー)が銀、同60キロ級の鈴木絢大(レスター)は銅となった。
日の丸を持ってマットを1周した尾崎は「目指してきたことが達成できている。勝つことはやっぱり一番いいことだと思う」と感慨深そうに語った。
決勝の詳細と尾崎の思い
決勝は昨年の世界選手権で準優勝の北朝鮮選手と対戦。頭を密着させて組み手争いで主導権を握り、攻撃を封じ続けた。隙を作り出し、タックルから背後を取って得点。3―0で勝利し、「相手が何もできない状態を長時間作れたのが勝因だと思う」と胸を張った。
世界トップクラスの選手が集まっている日本の女子レスリング界でも、62キロ級は特に競争が激しい階級だ。2024年パリ五輪金の元木咲良(育英大助手)のほか、8月のU20(20歳以下)世界選手権優勝の尾西桜(日体大)ら有力選手が集まっている。尾崎はパリ五輪で62キロ級の代表権を得られず、階級を上げた68キロ級で出場して銅メダルだった。
28年ロサンゼルス五輪は主戦場の62キロ級での金メダルが目標だ。今後本格化する国内の争いに向け、「ライバルたちも勝つために色々考えてくると思う。私も試合をしながら学べると信じて、課題を見つけてやっていく」。今大会を貴重な経験の場と捉えていた。
尾崎はこの日、日の丸をイメージして赤の付け毛をし、爪にはネイルアートで「日本」の文字や富士山の絵を描いてマットに上がっていた。「オリンピックになると(ライバルたちは)全員別人になる。自分自身の向き合い方をもう一度見つめ直そうと思う」。気の抜けない戦いへ決意を語った。
仲里の快挙と今後の目標
決勝を終えた仲里は「ぶっちゃけて言うと、優勝できるとは思っていなかった」と明かした。初戦から強敵との対戦が続く組み合わせに自信はなかったが、ふたを開ければ、アジア大会のグレコローマンでは日本勢として最も重い階級での金メダルに輝いた。「うれしいというよりか、なんか不思議な感覚です」
決勝では力比べで優位に立ち、インド選手を場外に押し出すなど第1ピリオドをリードして終えた。第2ピリオドは相手の背後を取って得点し、4―0で勝ちきった。試合中に痛めた左脚を引きずりながら、日の丸を掲げてマットを1周した。「本当はバック宙したかったけど、(痛みがあって)できないほど余裕がなかった」と笑った。
卒業後も練習の拠点とする日体大で「徹底的に前へ出るレスリング」を磨いてきた。この春から筋力トレーニングの専門家についてもらい、「人に見てもらうと妥協ができない」中で練習の質を高めてきた。そんな努力が実を結び、世界的に層が厚い97キロ級でパワフルな海外選手に堂々と渡り合える肉体を手にした。
沖縄県出身の26歳は、母親の実家がある愛知県に思い入れがある。「お母さんの地元で、みんなに応援してもらえるのはすごくうれしい」と、今大会の士気は高かった。「自分の実力で取ったとは思っていない。運も引きつけたし、応援でいつもの2倍くらいのパワーが出た」。順調に成長曲線を描き、2028年ロサンゼルス五輪に挑みたい。