アジア大会柔道、フィリピン代表の渡辺聖未選手が初戦へ 教え子の声援受け
アジア大会柔道、渡辺聖未選手が初戦へ 教え子の声援受け

愛知・名古屋アジア大会(読売新聞社協賛)の柔道女子78キロ級に、アドヴィックス(刈谷市)所属の渡辺聖未選手(30)がフィリピン代表として出場する。五輪で2大会連続の初戦敗退を喫し、昨年から母校の柔道強豪・富士学苑高(山梨県富士吉田市)の教壇に立ちながら競技に打ち込んできた。「何度負けても挑戦し続ける姿を見せたい」。教え子たちのエールを胸に2日の初戦に臨む。

日本語の壁を乗り越え、柔道に夢中に

日本人の父とフィリピン人の母との間に生まれ、小学4年の時に山梨県富士吉田市に移住した。体を動かすのが好きで、バレーボールなどチーム競技を始めたが、日本語が不自由で仲間とのコミュニケーションに苦労し、周囲から「ハーフ来た」と偏見にさらされた。

落ち込んでいた時、自分を受け入れてくれたのが、町の柔道場だった。子どもたちが性別や生い立ちに関係なく体と体をぶつけ合い、敵味方が互いにエールを送る。そんな雰囲気が楽しく、すぐに競技に夢中になった。

フィリピン代表として世界へ

同高に進学し、3年の高校総体で2位になると、全日本柔道連盟から「日本とフィリピン、どちらで世界を目指すのか」と意思確認を求められた。悩んだ末に選んだのは、日本より決してレベルが高いとは言えないフィリピン。「国際大会へ出場する機会が増え、より多くのことに挑戦できる」。自分のルーツを生かし、世界の舞台を目指そうと心を決めた。

メダルが期待された2021年東京五輪はフィリピン選手団の旗手を任されたが、初戦で敗退。雪辱を期した24年パリ五輪も結果を出せなかった。限界を感じて現役引退を考えていた頃、高校時代の恩師・矢崎雄大さん(46)から「教師をやってみないか」と声をかけられた。「環境を変えて選手としての視野を広げよう」と昨年4月に教職に就いた。

教壇と道場の二足のわらじ

授業では保健体育を担当し、2年生学級の副担任も務める。放課後は道場で約15人の柔道部員を指導し、生徒たちを相手に稽古を積む。二足のわらじで忙しい日々だが、「練習日とトレーニング日を分けていた以前よりも柔道着を着る日が増えた」と笑う。

迎えたアジア大会。目標は、銀メダルだった18年ジャカルタ大会以来の表彰台だ。「一戦一戦全力を尽くす。挑戦する姿で勇気を与えたい」。自分の活躍が、後進の育成につながると信じている。